2005 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア海域史研究における史料の発堀と再解釈-古地図・偽使史料・文学表現-
Project/Area Number |
17320093
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 公明 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (50171476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池内 敏 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90240861)
ケネス ロビンソン 国際基督教大学, 教養学部, 準教授 (10306904)
橋本 雄 独立行政法人国立博物館, 九州国立博物館, 研究員 (50416559)
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Keywords | 海域史 / テキスト / 地図 / 文学 / 偽使 |
Research Abstract |
本研究の目的は、古地図・偽使・文学表現の3つの研究対象について、海域史研究における史資料活用の可能性を広げることである。そのなかでも第1年度の目標は、これまでの成果を発表し、この研究において何をめざすのかを明らかにすることであった。それぞれについて、成果、問題点、そして次年度以降の課題について略述する。 古地図については、朝鮮製の地図について成果を発表することができた(ロビンソン、高橋)。ここでの成果を前提に、中国製の地図について検討する方針が明確になった。16世紀以降、中国で出版されてきた地図帳『広輿図』を混一系世界図との関連で注目し、日米の諸機関から収集した7種のコピーにもとづいて基礎的な分析を開始し、中間報告を行なった。また神戸市立博物館・大阪歴史博物館などで東アジア各地に関する地図の調査も実施した。 偽使については、15・16世紀の朝鮮に関わる偽使についての総括的な検討と、17世紀以降の鬱陵島など日本海を舞台にした興味深い活動についての分析が発表された(橋本、池内)。その成果を前提に、偽使が朝鮮にもたらした情報、あるいは安龍福が日本側に与えた衝撃などを史料分析によって再検討する方針が明確になった。 文学表現については、隠岐地域での現地調査を実施し、「隠州視聴合記(紀)」に関する分析(池内)、あるいは外交文書をどのように理解したかについての検討など(高橋)、やや個別的な成果が発表されたが、本研究の目標を設定するという点からすると、出遅れた感は免れない。2年度に向けて、漂流記など海域史に関する文学表現について、より時間を割いて検討する必要がある。
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Research Products
(10 results)