2007 Fiscal Year Annual Research Report
京都府行政文書を中心とした近代行政文書についての史料学的研究
Project/Area Number |
17320101
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Research Institution | Kyoto Prefectural Uniersity |
Principal Investigator |
小林 啓治 Kyoto Prefectural University, 文学部, 准教授 (60221975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 一幸 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (50259892)
石川 登志雄 京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (80388199)
稲葉 政満 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 准教授 (50135183)
上島 享 京都府立大学, 文学部, 准教授 (60285244)
川瀬 貴也 京都府立大学, 文学部, 准教授 (30347439)
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Keywords | 日本 / 文化財保存 / 文化財修復 / 行政文書 |
Research Abstract |
今年度は、主として3つの柱で研究を行った。第1に、京都府行政文書の紙質と劣化状態に関する調査のまとめである。概要調査と詳細調査について、それぞれの結果をまとめ、両者をクロスさせて検討を行った。年代ごとの簿冊数と劣化状態の調査を行い、簿冊の残存度を推計し、あわせて劣化の緊急度の年代的特徴を割り出した。第2に、行政文書の史料学的研究について、府県行政文書の多様性に留意しつつその構造と秩序について議論を行った。中央国家機関の行政文書と府県行政文書の共通点・相違点を明らかにし、府県行政文書の特質と行政文書全体に占める位置について一定の共通理解に達した。国家行政と末端町村の間に介在する府県行政がもたらす文書の多様性と史料的重要性が再確認された。今後の課題として、郡役所や出張所発出文書などの位置づけと保存をどうするかが浮かび上がった。第3に、文化財としての行政文書の保存と修復の問題について、研究会を重ねて議論し、劣化状態のレベルに応じた修復方法の基準を提示した(報告書)。 以上の研究成果を研究者・文書館関係者に公開すべく、2007年8月26日にシンポジウム「未来への遺産-重要文化財「京都府行政文書」の保存と活用-」(於:キャンパスプラザ京都)を開催した。国立公文書館高山正也理事の基調報告「公文書の保存と活用の意義-過去は未来を語る」ののち、「近代行政文書研究の諸課題」、「近代史研究と行政文書」、「文化財としての京都府行政文書」、「近代行政文書のための保存科学」、「近代行政文書の保存と修復」の5本のパネル報告を行った。全国各地から約150名の参加をえて、活発な意見交換を行った。当日の議論については全史料協『記録と史料』第18号(2008年3月)に、特集として紹介されている。
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Research Products
(7 results)