2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17320114
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小澤 弘明 千葉大学, 文学部, 教授 (20211823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大峰 真理 千葉大学, 文学部, 助教授 (70323384)
上村 清男 千葉大学, 文学部, 助教授 (60344959)
橋川 健竜 千葉大学, 文学部, 講師 (30361405)
秋葉 淳 千葉大学, 文学部, 講師 (00375601)
後藤 春美 千葉大学, 国際教育センター, 助教授 (00282492)
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Keywords | 西洋史 / データベース / 不均等発展 / 帝国論 / 国民国家 / 新自由主義 |
Research Abstract |
第二年度は、まず研究データベースの作成と研究ネットワークの形成についてはオーストリア研究文献目録(第一次および第二次)がほぼ完成した。アイルランド、南仏、ハンガリー、ルーマニア、オスマン帝国についても整理中である。また、新自由主義の世界史に関する文献目録(第一次としておよそ千点)も作成した。これらのデータベースはサーバーに集積しており、公開に向けた準備作業を行っている。 研究ネットワークの形成については、小沢がオーストリア、イギリス、中国の研究者と研究打ち合わせを行い、上村がシエナを中心とするイタリア、秋葉がトルコ、後藤がイギリスについて、それぞれ現地調査を踏まえて研究動向を精査した。 また、2007年1月13〜14日に開催された国際会議「19世紀中東・バルカンへの新しいアプローチ」をこの科研費プロジェクトとして共催し、秋葉・小沢・橋川が研究成果を交流した。 研究視角という点では、第一に自由主義の歴史から新自由主義に至る中心=周縁関係をめぐる最近の議論を整理した。これは、「古典的自由主義と新自由主義」「社会的自由主義と新自由主義」「新自由主義の世界史」の三つの視角からアプローチしたものである。また、2006年5月に開催した第56回日本西洋史学会の小シンポジウム「地域概念としてのヨーロッパ」の企画を踏まえ、2007年6月に開催される第57回大会のシンポジウムテーマ「国民国家とアイデンティティ複合-中欧における帝国、国民、民族-」につなげる作業を行った。 第二の研究視角として重視したのは、ポストコロニアル批評を媒介としたヨーロッパ内外の帝国認識をめぐる議論である。ここでは、とくにオスマン帝国内外の周縁認識をめぐる研究会を開催し、また、ルネサンス期イタリア国内の中心と周縁にかかわる図像認識の差異を検討する研究会を開催した。 第三に、ヨーロッパ内の中心=周縁関係を世界史における中心=周縁関係の構造的把握と接合するために、グローバリゼーション・スタディーズや新自由主義研究の現状について検討を行った。この議論は、日本西洋史学会の公開講演「世界史とヨーロッパ史」の企画として反映された。また、新自由主義の世界を構造的に把握するための理論的基礎を検討する作業を進めつつある。
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Research Products
(10 results)