2007 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジア諸国における立憲主義の「移植」とその現実態に関する研究
Project/Area Number |
17330001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉浦 一孝 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (40154463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大江 泰一郎 静岡大学, 大学院・法務研究科, 教授 (00097221)
小森田 秋夫 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30103906)
大河内 美紀 新潟大学, 人文社会教育科学系, 准教授 (20345838)
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Keywords | 基礎法学 / 中央アジア / 憲法裁判所 / 憲法院 / 立憲主義 / 人権 / 法文化 / 法の移植 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度であり、昨年度に引き続き、「移植」された立憲主義の現実態を明らかにするために、ウズベキスタン憲法裁判所、カザフスタン憲法院およびキルギス共和国憲法裁判所の立憲主義に係る判決を分析した。そして、これら三カ国への立憲主義の「移植」とその定着度を体制移行国の中で相対化するため、本研究では、比較の視点から、ロシア憲法裁判所の立憲主義に係る判決、とくに権力分立の原則(連邦制、地方自治を含む。)、経済活動の自由、人格的および政治的自由権(参政権を含む。)に係る判決も分析した。これらの分析結果を、2007年8月に名古屋大学で開催された研究会に持ち寄り、それらを検討した。その結果、社会主義体制の崩壊後、普遍的価値として理解された「市場経済」「民主主義」および「人権」を三位一体としてとらえ、その実現のために立憲主義の「移植」を試みているウズベキスタンおよびカザフスタンの場合、その試みとは相いれない大統領中心の権威主義的政治体制を取っていることからも、立憲主義の「移植」とその定着は、困難をともない、まだかなりの時間を要することが明らかとなった。要するに、両国に「移植」された立憲主義の定着の問題は、権威主義的政治体制の改革の問題と密接にむすびついているということが認識された。またキルギス共和国の場合も、政治体制が不安定であり、個人の権利擁護に一時非常に積極的であった憲法裁判所の廃止論が主張されるなどしたことからも示されるように、同じく立憲主義の「移植」とその定着は困難であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)