2007 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア・中東地域の国家制定法と伝統的秩序規範の協働関係に関する法文化研究
Project/Area Number |
17330003
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
後藤 武秀 Toyo University, 法学部, 教授 (90186891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 洋 東洋大学, 法学部, 教授 (80316786)
奥田 敦 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (50224150)
三沢 伸生 東洋大学, 社会学部, 准教授 (80328640)
子島 進 東洋大学, 国際地域学部, 准教授 (90335208)
長津 一史 東洋大学, 社会学部, 准教授 (20324676)
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Keywords | 東南アジア / 中東 / 国家制定法 / イスラーム / 仏教法 / 華人 / 伝統的規範 / 協働関係 |
Research Abstract |
本プロジェクトは、アジアの中でもとりわけ東南アジア地域と中東地域において、「伝統的秩序規範」と近代以降のヨーロッパ文化の影響によって整備されてきた「国家制定法」との協働関係によって社会秩序が形成されているという基本的認識の下に、両規範の協働関係の実際を解明することに努めてきた。 東南アジア班は、過去2年間における中国、台湾、ミャンマー、マレーシア、ネパールなど各国での調査結果基づき、伝統的・宗教的規範と国家制定法の協働関係について総括した。具体的にはインドネシア・台湾・タイに関して家族法や自治法などを中心に国家制定法にみる伝統的秩序規範の影響を分析して諸成果を取り纏め、またミャンマー、マレーシア、フィリピンの現地調査を補足しながら伝統的価値規範の比較検討を行い、とりわけフィリピンかんしては現地での法令集の収集と電子化作業を行った。さらにネパール、モルディブにおける法文化調査により、東南アジア地域と中東地域の結節点である南アジア地域の果たした役割と特徴とを解明できたことが大きな成果であった。 中東地域研究班についてはアラブ世界の伝統的価値規範であるシャリーア、さらにその法源であるクルアーン(コーラン)の研究を展開した。アラブ世界から流入した伝統的法規範が近代においてどのようにヨーロッパから流入してきた新しい法理念による国家制定法とのあいだにどのような軋轢と協調とをおこしたのかを主にオスマン帝国末期の逐次刊行物資料の分析から明らかにした。 さらにこうした東南アジア・中東地域の法文化に対して、近代の日本がどのように対峙してきたのかを日本の中東地域への進出機関としてイスタンブルに設けられた日本商品館が刊行した館報の分析、北京に設けられた日本のイスラーム関連団体の機関誌の分析から、法文化の認識の差異を明らかにした。
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Research Products
(28 results)