2007 Fiscal Year Annual Research Report
権利・利益の実効的救済手段としての「仮の救済」についての実証的・総合的研究
Project/Area Number |
17330004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笹田 栄司 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 教授 (20205876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亘理 格 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30125695)
大貫 裕之 中央大学, 法科大学院, 教援 (10169021)
村上 裕章 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20210015)
赤坂 正浩 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80167816)
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Keywords | 内閣総理大臣の異議 / 仮処分 / 行政事件訴訟法改正 / 仮の救済 / 裁判を受ける権利 / 司法 |
Research Abstract |
「仮の救済」の理論的および実証的検討を行う本研究は、最終年度において、次の成果を得た。 まず、国際研究集会「実効的権利保護論の現代的課題-仮の権利保護を中心にして-」に、「実効的権利保護論」で著名なW.-R.・シェンケ教授(マンハイム大学名誉教授)を招き、同教授が主報告「ドイツ行政訴訟における仮の権利保護」を行い、研究代表者が副報告「実効的権利保護の要請と仮の救済」を行った。日独の違いは仮の権利保護の憲法的基礎づけにある。日本と異なりドイツにおいては、判例・学説により、「仮の権利保護は基本法19条4項において基礎づけられた権利保護の実効性の原理の必然的帰結」と解されている。したがって、訴訟法が仮の権利保護を規定していない場合、権利保護の欠缺は権利保護の実効性の原理に直接依拠して埋めなければならない。このような憲法的思考と訴訟法解釈の結合が、わが最高裁判例に最も欠けている点であろう(上記報告の詳細は、北大法学論集59巻1号参照)。 次に、研究代表者が『司法の変容と憲法』を刊行した。そのなかで、「仮の救済」の憲法的基礎づけについて以下のように論じている。最高裁判例と異なり、憲法32条「裁判」は憲法82条「裁判」よりも広い概念と捉えるべきである。即ち、他の権力から独立した中立的な裁判官が、手続的公正に則って審理を行うのであれば、それは司法作用と言うべきであり、その際、手続的公正の核心として、法的聴聞、武器平等があげられる。憲法32条が想定する「裁判」は、公開・対審・判決を"標準装備"した訴訟=判決手続に限定されず、上記のような司法としての性質を有する「裁判」を含む。(決定手続で行われる)「仮の救済」がこのような意味の司法作用であるなら、憲法32条「裁判」に含まれる。
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Research Products
(13 results)