2007 Fiscal Year Annual Research Report
居住福祉所有法学から見た団体論・地方自治・補完性原理
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17330022
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 邦彦 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 教授 (00143347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 和男 神戸大学, 名誉教授 (60116241)
亘理 格 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (30125695)
人見 剛 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30189790)
遠藤 乾 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (00281775)
藤谷 武史 北海道大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (90313056)
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Keywords | 居住福祉 / 所有権 / 団体 / 地方自治 / 補完性 / 非営利協同組合法 / 災害復興 / 都市再開発 |
Research Abstract |
最終年度で、まとめに努めたが、それでも課題山積の感がある。吉田を中心とする研究活動群に即して述べると、第1は、基礎自治体ないし非営利団体と居住福祉法学との関わりであるが、北海道夕張の破綻自治体問題がクローズアップされて、労働者協同組合とも連携して、また現地住民の聞き取り、草の根の居住福祉のための非営利団体の活動の調査を通じて、釧路、札幌、夕張でシンポを開催し、成果も発表した(07年3月、6月)。また、藤谷は、同時期にアソシエイションに関する比較法学会で報告し、さらに、新たな公共を担う小規模非営利団体の活動を基礎付ける立法化(「協同労働の協同組合法」)に着目して、超党派の法制化前夜まで来ている法制化を学問理論的・実践的に検討した(08年2〜4月)。第2は、災害復興の居住福祉に関わるもので、とくに弱体(財政難)の自治体を襲った災害からの復興過程を考察した。例えば、アメリカのルイジアナを襲った(2005年8月)カトリーナ被害の復興状況を調査し(07年5月)、またわが国では、能登震災にかかわるシンポに参加した(07年11月)。早川もこれに参加して、さらに、新潟震災の調査も交えて、著作にまとめた。災害復興問題の検討に際しては、中山間地の防災力ないしその居住福祉維持の検討が不可欠であるが、山陰での震災の再調査ないし匹見地区の限界集落の状況調査も行った(07年12月)。なおこれに関連して、第3に、グローバリズムと地方自治との交錯現象の考察も近時議論が高まり、アメリカでのそれに関する学会に参加し(08年1月)、いずれ成果をまとめたい。また、遠藤は既にそうした問題意識から成果を発表してきており、一連の著作を発表した。 さらに第4に、アジア諸国における喫緊の居住福祉課題は、都市再開発の問題であり、これについて、日中韓の会議を開催した(07年10月)。既に上海のスラム地区の調査成果を発表したが、さらに、ソウルのチョッパン(不良住宅)地区の調査を行い(同月)、そこにおける自治体の役割などの検討を行った。日本では、マンション建替えを巡る千里ニュータウンでの集会を行い(08年3月)、さらに、韓国でのアパーツ再建築問題との比較考察を韓国で報告の予定である。その他第5に、居住弱者の居住差別の問題に関する調査を随時行った。1つに、虐待児童の居住福祉として、児童養護施設を視察してシンポに参加し(07年6月、7月)、2つには、認知症患者の居住福祉施設を調査した(07年7月)。3つめとして、ハンセン療養者入所者の居住環境の実態把握のために岡山の邑久光明園、長島愛生園を訪問し、入所者・園長と意見交換を行った(07年9月)。さらに4つ目として、かねて注目する伊達の知的障害者のノーマライゼーション化された居住福祉事情の再調査を行った(07年12月)。
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Research Products
(30 results)