2005 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返しゲーム下における規範の役割および結託防止の制度設計に関わる分析
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17330040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 彰彦 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30272165)
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Keywords | 繰り返しゲーム / 2×2同時手番ゲーム / 満足化原理 / サーチ / 協力 / 寡占市場 / 経済学実験 / 談合 |
Research Abstract |
【理論】 In-Koo Choとの論文2編を国際学術誌に出版したことが最大の成果である。2編の論文のうち、Journal of Economic Theoryの論文"Learning aspiration in repeated games"は、2×2の同時手番ゲームの繰り返しゲームにおいて、通常の最大化原理ではなく、満足化原理に従ってプレイヤーが行動した場合に生じる結果について分析したものである。個々のプレイヤーが協力している間は満足し、どちらかが非協力的な行動を採ると、裏切られたほうがよりよい戦略を求めてサーチを開始するため、協力が安定的な行動様式になりやすい。このため、通常のフォーク定理ではなく、しばしば協力がユニークな均衡として達成される点が重要な結果である。この研究は引き続き寡占市場に応用する形で進めており、戦略の数が無数にある、という複雑な状況であるにもかかわらず、むしろより美しい結果(「常に」協力が達成される)が出てくることが確かめられている。今後、この成果を軸に論文をまとめていく予定である。17年度は、この研究のためにソウルおよびニューヘブンに出張し、Cho氏と議論するとともに、途中結果の発表をイェール大学におけるコンファレンスで行った。 【実験】 本年度は初年度ということもあり、主として経済学実験の準備を行った。本研究科棟にトレーディングラボが完成したことに伴い、様々な種類の実験を行うことが可能となった。準備に時間を費やしたものの、実験計画は順調に進み、3月下旬には繰り返しゲームにおける談合の問題をコンピュータのチャット機能を用いて行った。また、研究成果のみではなく、実験のロジスティックスに関する情報交換をするなどの研究交流も積極的に行っている。
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Research Products
(4 results)