2005 Fiscal Year Annual Research Report
英国におけるフィランスロピーの思想と運動の実証的研究:19〜20世紀初頭を中心に
Project/Area Number |
17330044
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
岡村 東洋光 九州産業大学, 経済学部, 教授 (50108627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 通 神奈川大学, 経済学部, 教授 (20102220)
高田 実 九州国際大学, 経済学部, 教授 (70216662)
光永 雅明 神戸市外国語大学, 外国語研究所, 助教授 (20229743)
金澤 周作 川村学園女子大学, 文学部, 講師 (70337757)
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Keywords | フィランスロピー / 社会福祉 / 経済史(社会史) |
Research Abstract |
この研究は、当初より、H17からH19年度にわたる3年計画で進めており、最終年度のH19年度末に成果を纏めて提出する予定である。 ○第1回 日時;2005年8月6日(土) 場所;九州産業大学 1.報告者:高田実(九州国際大学)「近代イギリスにおける相互扶助とフィランスロピー〜国際比較の視点から〜」 2.報告者:島浩二(阪南大学)「イギリス住宅改良運動における相互扶助と慈善」 ○第2回 日時:2005年10月29日(日) 場所:神奈川大学 1.報告者:平尾毅(一橋大学)「19世紀英国産業における工場村の変遷」 2.報告者:岩間俊彦(首都大学東京)「企業家と地域社会;19世紀第1半世紀のハリファックス」 ○第3回 日時:2006年3月26日(日) 場所:北海道大学 1.報告者:栗田健一(北海道大学)「草稿スキームにおける地域経済の再生構想」 2.報告者:長谷川貴彦(北海道大学)「博愛主義団体と社会改革」 3.報告者:宮腰英一(東北大学)「19世紀イギリスの基金立学校改革とチャリティ」 今年度は、以上の日時と場所で、計3回の研究会を行った。これを通して、明らかになったことを列挙しておく。まず、英国近代におけるフィランスロピーが時代とともに、また、階級に応じて異なって展開されたこと。総体として、近世以降、フィランスロピーが社会のセーフティネットとして機能してきたこと。次に、新興の企業家の中にはフィランスロピーなどには目もくれず、金儲けしか頭になかった者も少なくなかった。だが、彼らの多くが伝統的なジェントルマンの尊敬される存在に憧れて地方の地主に転向したのも事実であった。残った少数派が、彼ら固有の文化、生き方を模索した。彼らの多くは工場と地域社会を対象として、独自のフィランスロピーを実践した。さらに、庶民のレベルでも相互扶助の形でフィランスロピーが展開されていた。以上の点を踏まえ、次年度もさらに研究会を重ねる予定である。なお、岡村は、アン・ヴァーノン著『クエーカー企業家ジョーゼフ・ラウントリーの生涯1836-1925』上、を佐伯岩夫氏との共訳で、九産大経済学会「エコノミクス」第10巻2・3・4号、平成18年3月30日、pp.65-126.に掲載した。この全訳は近日中に単行本として出版の予定である。
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