2006 Fiscal Year Annual Research Report
英国におけるフィランスロピーの思想と運動の実証的研究:19〜20世紀初頭を中心に
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17330044
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
岡村 東洋光 九州産業大学, 経済学部, 教授 (50108627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 通 神奈川大学, 経済学部, 教授 (20102220)
高田 実 九州国際大学, 経済学部, 教授 (70216662)
光永 雅明 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 准教授 (20229743)
金澤 周作 川村学園女子大学, 文学部, 准教授 (70337757)
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Keywords | フィランスロピー / 相互扶助 / セーフティネット / 社会福祉 / 社会史 |
Research Abstract |
最終的な報告書は本年度末にまとめて発表する予定であるが、H18年度の成果として、岡村東洋光は(佐伯岩夫と協働で)A.ヴァーノン著『ジョーゼフ・ラウントリーの生涯』を翻訳した。この書の内容がジョーゼフ・ラウントリーの活動の概要を示している。彼の全体像を示すことによって、19世紀末から20世紀初頭にかけての英国の良心的企業家の典型的姿をみることができる。山本通「B.シーボーム・ラウントリーの日本滞在日記」は、森永製菓との提携を模索したことを示す資料の紹介である。結果的には成就しなかったが、国際派企業家シーボームの一面を明らかにした。光永雅明「ヴィクトリア時代中期における反君主制論の衰退」は、王制に反対する思想と運動が帝国運動の高揚の中で衰退する模様を描いた。その過程で、ノーブレス・オブリージュの価値観が再強化されることを確認できた。高田実「『福祉の複合体』史の語るもの」では、特に、労働者階級の相互扶助活動は、一面的に肯定的に評価されるものではなく、その活動の中に労働者自体の選別が含まれていたことを明らかにした。相互扶助は<包摂と排除>の過程でもあった。金澤周作「学びを支える社会と力」は、近代イギリスの教育が政府の活動よりも、自発的なチャリティ活動によって大きく支えられてきたことを明らかにした。 他に、4回の研究会を行い、多くのことを学んだ。列挙しておく。吉田報告は国教会の改革運動が帝国の凝集に果たした役割は小さくなかったことを、松塚報告はボランタリーな活動による識字教育の実態を明らかにした。井野瀬報告では、ブリストルにおける奴隷貿易廃止200年を記念した行事に関連したコルストンの扱いをめぐるボランタリーな活動の相克を描いた。並河報告では、クラッパム・コモンの周辺に集まった知識人の運動を取り上げ、彼らの公益思想に迫った。水野報告は環境保護運動が帝国の周辺の地における森林監督官の自発的な活動に左右されたことを、香川報告は女性の社会進出がボランタリーな性格を有するとともに、国策によって針路付けられたものであったことを指摘した。永島報告は、保健行政が地方の官吏によって大きく左右されたことを、赤木報告では、リヴァプールを舞台に展開された慈善活動が、政府から独立したものから、政府との協働関係を作る形へと展開していることを指摘された。
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Research Products
(7 results)