2006 Fiscal Year Annual Research Report
構造改革は新たな設備投資を生み出すか?:設備廃棄の動的パネル分析と実地調査
Project/Area Number |
17330058
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
井澤 裕司 立命館大学, 経済学部, 教授 (70222924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 研一 摂南大学, 経営情報学部, 教授 (30146758)
道明 義弘 奈良大学, 社会学部, 教授 (00024985)
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Keywords | 企業行動 / 設備廃棄 / 設備投資理論 / パネル分析 / 構造改革 |
Research Abstract |
本年度は、わが国企業における構造改革の分析を、主としてわが国上場企業の1980年から2003年3月決算のデータベースに基づいて実施した。 すなわち、上場企業全体の財務データ(個別決算データ)を、設備廃棄、設備投資、OEM比率、雇用、利益について、それぞれの変数をパネルデータとして再構成し、TSPによる動的パネル分析(多変量VARモデル)を実行した。なお、これまで、利益として、営業利益のみを取り上げてきたが、この分析では、経常利益および当期純利益を変数として取り上げ、わが国企業が、どのように、それぞれの利益に反応しているのかについての分析を試みている。この分析は、設備廃棄がどのような利益との関連で、どのように実施されているのかを明らかにし、また、わが国企業が、どの利益に基づいて行動しているかを示すことができるようになると期待される。なお、分析対象として、収録全社、製造業、非製造業、製造業17業種に区分して実行した。また、分析期間として、1980年から2003年、それを細分化した1980年から1989年、1990年から2003年の3期間に分けて実施している。さらに、各業種分類ごとに、収録全社、収録継続全社、一部上場会社、二部上場会社、収録非継続会社の5種類の企業グループに分類している。その結果、20種類の業種ごとに、3期間に分けた、5種類の企業グループについての分析結果として、営業利益について、1業種、15表と15図、20業種合計、300表と300図、経常利益について、同じく、300表と300図が得られている。なお、当期純利益については、同じような結果が得られているが、現在、表と図にまとめ上げている段階である。本年度は、このように、分析結果を、600表、600図にまとめることができた。当期純利益についても、できるだけ早い機会にまとめていくことにしたい。そして、一部については、すでに公表してきているが、この結果の全体について、その成果を、近日中に、公表する予定である。 なお、構造改革は、企業だけの課題ではなく、あらゆる組織に要請されている課題でもある。それゆえ、行政機構の構造改革にも、分析を重ね始めた。企業を中核としながらも、グローバルにして、包括的な構造改革の分析を展開したい。本年度はもともと、国際比較研究を本格的に開始する予定であったが、データベースの処理の結果、わが国企業における構造改革の分析に主として、時間を割くこととなった。来年度は国際比較の観点からの研究を中心に進め、全体像をまとめる作業を行う。
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Research Products
(3 results)