2006 Fiscal Year Annual Research Report
医療機関の経営におけるバランスト・スコアカードの有効性に関する研究
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17330091
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高橋 淑郎 日本大学, 商学部, 教授 (00211342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 史安 日本大学, 商学部, 教授 (90120500)
白神 誠 日本大学, 薬学部, 教授 (00339243)
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Keywords | バランスト・スコアカード / 病院経営 / 有効性 / トップ・マネジメント / 成果尺度 |
Research Abstract |
平成18年度の研究は、3つのテーマで行われた。第1が、病院経営の現状となぜいくつもある経営ツールの中で、バランスト・スコアカードを病院が選択したかを明確にすること。第2が病院経営でいかにしてBSCを作成し、導入し、活用していっているかを確認し、導入・運用時の障害の克服などを洗い出すこと。第3に、病院経営でのバランスト・スコアカードの有効性を測定する尺度の検討である。 今回は、導入中の病院、導入して1年程度の病院、導入後4年以上経過している病院を対象として、バランスト・スコアカード導入・運用に関する多角的なインタビューを行った。また、対象病院は、グループで活用している病院、単独で利用している病院などにも注意して病院を選択した。 今回の一連の調査の詳細は、報告書に譲るが、バランスト・スコアカードへの理解、特にトップ層の理解の程度によって、バランスト・スコアカード導入の意思決定が大きく変化することがわかった。そこにまずポイントがある。本部がバランスト・スコアカード導入を決定し、傘下の30以上の病院に利用を指示している病院群では、院長のバランスト・スコアカードへの理解や病院経営への熱意によって、戦略マップとスコアカードの内容と完成度に、かなり温度差があることが分かった。 また、病院の規模によって、組織の余裕(ハンドルの遊び部分)幅が異なり、小規模病院でのバランスト・スコアカードの運用の課題が、トップマネジメント同士のコミュニケーションあるいはパワー・バランスに依存することも明らかになった。 バランスト・スコアカード導入時、運用時の障害についても、様々課題が見出された。それらを各病院がそれぞれのシステムや人的資源の制約の中でクリアしてきた経験を洗い出したことは、病院経営での有効性を確認する作業において役立つものであった。 また、研究協力者に、医師、統計の専門家などが加わっていただき、分析の幅が広がった。 上記の検討から、新しく調査すべき項目を精査することができるようになったので、次年度の研究に生かして生きたい。
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