2007 Fiscal Year Annual Research Report
半栽培(半自然)と社会的しくみについての環境社会学的研究
Project/Area Number |
17330107
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮内 泰介 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 准教授 (50222328)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 彰 関西学院大学, 社会学部, 教授 (90199422)
布谷 知夫 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 総括学芸員 (70110038)
菅 豊 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (90235846)
牧野 厚史 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (10359268)
関 礼子 立教大学, 社会学部, 准教授 (80301018)
|
Keywords | 半栽培 / レジティマシー / 半自然 / ヨシ(葦) / 北上川 / 順応的管理 / ハビタットの改変 / 認知 |
Research Abstract |
本研究では、ヨシをはじめとするさまざまな半栽培植物(または半家畜の動物)に焦点を当て、かかわる人間の側のしくみ・制度を論じることにより、自然のあり方とそれに対応する人間社会のあり方を統一的に把握するモデルを提示することを目標としている。本研究の最終年度に当たる平成19年度は、(1)宮城県の北上川河口地域でヨシ(葦)(Phragmites australis)原の利用のしくみと変遷についての現地調査を継続し、まとめにかかる一方、(2)研究会を開いて多様な専門分野の研究者が集まり、本研究の総括的な議論を行った。その結果、(1)の北上川河口地域での調査では、ヨシ原が歴史的に大きく変遷しており、それと地域組織や人々の生活構造の変遷が大きくかかわっていることが明らかになった。自然環境-自然利用-社会組織の3者が、相互に関連しながら、変遷している様子が見られ、さらに、そこでは、強固なしくみと柔軟なしくみとが折り重なるように存在していることが分かった。また、(2)の総括では、(i)「半栽培」概念の幅広さが明らかになり、(a)domestication(馴化、栽培種化)、(b)生育環境(ハビタット)の改変、(c)人間の側の認知の改変、の3つの次元で考えることが妥当であり、さらには、さまざまなレベルの「半」(半所有、半管理、…)と結びついているることが明らかにされた。(ii)また「半栽培」と「社会的しくみ」の間に連関があることは確かだが、その連関の詳細はモデル化しにくいこと、したがって、各地域の地域環境史を明らかにすることから個別の連関を明らかにしていくことが重要であることがわかった。(iii)さらに、こうした半栽培の議論は今後の順応的管理の際に重要なポイントになってこと、これと関連して、欧米で議論され始めているadaptive governance概念が本研究にも適応できる概念ではないかということが分かった。 本研究は、そうした総括を踏まえ、成果を商業出版する方向で進めている。
|
Research Products
(4 results)