Research Abstract |
本研究は,イ)政治的変動期(日本は終戦直後から1950年代,韓国は1980年代後半から1990年代まで)における労働協約の成立・変化の過程を観察し,ロ)雇用の諸慣行と企業別労使関係がどのような背景のもとでどのような労使の意思決定プロセスを経て形成・変容されたかを分析することを通じて,ハ)各社会における労使の「秩序形成」過程の特徴を検討し,かつ固有の課題を析出することを目的とする。 平成19年度の上半期には,研究成果の中間報告の一環として,韓国より3人の共同研究者を日本に招き,コンファレンスを開いた。本研究に関心を有する日本の研究者および関係者の参加を得て,日本と比較しながら,韓国の労働協約の特徴を析出するとともに,企業別組合より産業別組合へと変身を試みている韓国の労使関係状況を分析した。なかんずく自動車と造船のケースを重点的に検討し,「舞期的実利主義」に走っている現代自動車労組の現状や,非正規労働者の労働条件を十分取り上げられていない大宇造船労組の現状などを分析した。下半期には,中間報告での議論をふまえ,夏休みなどを活用し,補充調査を行った。補充調査では,トヨタ自動車のほか,現代自動車,韓国鉄道,国民銀行などを対象に,いままでその解釈の確かでなかった,もろもろの事実関係を確認するとともに,両国の特徴をより明確に析出するために努めた。なお,韓国産業研究院および韓国労働研究院の研究者と意見交換の場を設け,論点整理を行うと同時に,研究成果の一部を韓国に還元した。
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