2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本型社会福祉システムの確立・変容過程の実証的研究-国際比較の視点から
Project/Area Number |
17330126
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
平岡 公一 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (10181140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉野 昭博 関西大学, 社会学部, 教授 (30247895)
河野 真 兵庫大学, 経済情報学部, 教授 (10186629)
和気 康太 明治学院大学, 社会学部, 助教授 (50257060)
吉原 雅昭 大阪府立大学, 人間社会学部, 助教授 (30264823)
所 道彦 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 講師 (80326272)
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Keywords | 社会福祉サービス / 国際比較 / 福祉国家 / 国際研究者交流 / イギリス:スウェーデン:韓国 / 介護 / 公的扶助 / 自治体行政 |
Research Abstract |
2年度目にあたる本年度は、以下のとおり研究を進めた。 1.前年度に引き続き、日本の社会福祉システムの確立・変容過程に関して、高齢・障害・児童・公的扶助の各分野、および社会福祉計画、福祉ミックス、自治体行政、ソーシャルワークと専門職のテーマごとに分析を進めた。その際に、分野・テーマごとにイギリス、スウェーデン、フランス、アメリカ合衆国等の比較対象国を選び、それらの国の状況と比較しつつ分析を進めた。 2.比較対象国の資料収集・調査のためイギリスとスウェーデンを訪問した。また、研究協力者である韓国の研究者を招き、日本の社会福祉システムの確立期における自治体の政策過程に焦点をあてて公開研究会を実施した。 3.日本社会福祉学会大会の自主企画シンポジウムで、高齢者ケアの福祉ミックス、生活保護と財政・政府間関係、ソーシャルワーク理論の転換に関する研究報告を行った。また、International Federation on Ageing 8th Global Conference(コペンハーゲン)で、介護保険制度改革についての研究結果を報告した。 分析により得られた知見は多岐にわたるが、今後の研究の展開にとって重要な点は次の点である。 1.日本の制度改革の過程を適切に分析する上では、社会保障の拡充を、生存権の確立過程あるいは社会の近代化過程の一部とみる従来の枠組みでは不十分である。サービス水準、サービス提供体制、行財政システム等の変化とその要因を分析できる新たな枠組みの構築が不可欠である。 2.日本の社会福祉システムの本質と動態の検討にあたっては、東アジア諸国を視野に入れて分析枠組みが精緻化されつつある比較福祉国家研究の分析枠組みを活用することが有効である。 3.欧州諸国との比較を行う際には、欧州諸国で、しばしば手当等の現金給付や、インフォーマルな介護者への支援策が果たしている役割が大きいことに留意する必要がある。
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