2005 Fiscal Year Annual Research Report
EBPとしてのファミリーソーシャルワーク実践モデルの開発的研究(M-D&D)
Project/Area Number |
17330132
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
芝野 松次郎 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60162640)
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Keywords | ソーシャルワーク / 子ども家庭福祉 / 実践モデル開発 / EBP / ICT化 / 施設ファミリーソーシャルワーク:IFSW |
Research Abstract |
一昨年4月より全施設にファミリーソーシャルワーカー(家庭支援専門相談員)が配置されたが、業務内容の明確化と質の向上にイノベーションが求められている。本研究の目的は、児童養護施設におけるファミリーソーシャルワーク(IFSW)の実態を把握するとともに、エビデンス・ベースト・プラクティス(EBP)としてのファミリーソーシャルワーク実践モデルを研究開発することである。 研究は、芝野(2002)によるM-D&Dの四段階に沿って進められており、研究期間3年の初年度である本年度は、フェーズI 「問題の把握・理解」としてIFSW実践実態把握のために、4児童施設の施設長などエキスパートと考えられる専門家を対象として実施した質的調査の分析結果に基づき質問紙を作成し、全児童養護施設および乳児院の施設長とIFSWer各1名に対して量的調査を実施した。以下量的調査結果を中心に研究実績を報告する。 質問紙は、エキスパートインタビューの内容分析と文献研究に基づき、IFSWの役割、実践条件の整備状況、実践阻害要因、そしてIFSWerの資質について尋ねた150弱の質問項目から構成され、後の探索的統計解析のために5件法尺度の形とした。調査対象は児童養護施設557ヶ所全数、乳児院117ヶ所全数、回収率はそれぞれ45.7%と73.5%であった。 分析結果と考察の概要: 詳細については、「子ども家庭福祉学」へ投稿済みで査読中の論文および6月予定の子ども家庭福祉学会での口頭報告(別途、報告書は5月発行予定)に譲るが、単純集計結果の分析からは、IFSWの役割については施設長の期待とIFSWワーカーの遂行の間に、施設内での児童へのケア役割を重く見る点で共通性が見出されたが、施設長は「親との信頼関係構築」を期待しているが、ワーカーは「親からの情報収集」を重視しているという点で違いが見られた。 探索的な因子分析結果をハイライトすると、施設長の期待に関しては3因子、IFSWワーカーからは4因子が抽出された。施設長は「施設内スーパービジョン」「家庭復帰支援」「在宅支援」、ワーカーは「地域子育て支援」「施設内スーパービジョン」「家庭復帰支援」「里親支援」である。 今年度は極めて明確な実態把握ができたと考えられる。予想通り施設長、ワーカーともに従来型の施設ケアの役割にとどまっていることが浮き彫りにされる一方、IFSWの役割としては地域との連携因子が明らかになった。次年度の課題は、こうした因子の中で、期待および遂行実態の弱い因子が示す役割の遂行を阻害する要因の分析結果に基づき、IFSW実践モデルの構築を試みる。平行してモデルのITC化も継続する(研究成果参照のこと)。
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Research Products
(2 results)