2006 Fiscal Year Annual Research Report
EBPとしてのファミリーソーシャルワーク実践モデルの開発的研究(M-D&D)
Project/Area Number |
17330132
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
芝野 松次郎 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60162640)
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Keywords | ソーシャルワーク / 子ども家庭福祉 / 実践モデル開発 / EBP / ICT化 / 施設ファミリーソーシャルワーク |
Research Abstract |
児童養護施設に措置されている子どもの8割に実親がおり、6割の子どもが親からの虐待を経験している。そうした児童養護施設においてファミリーソーシャルワーク(FSW)の実施が期待されている。すなわち、社会が要保護児童に対する施設養護のあり方にイノベーションを期待していると言える。本研究の初年度(平成17年度)は、全児童養護施設及び乳児院の施設長とファミリーソーシャルワーカーを対象として質問紙調査を実施し、こうしたFSWの具体的な役割の抽出を試みた。その結果は『児童福祉施設におけるファミリーソーシャルワーク実践に関する実態調査報告書』(代表芝野松次郎2006,総ページ数143)として公にした。この調査結果の報告は、第54回日本社会福祉学会全国大会、第7回日本子ども家庭福祉学会全国大会そして第12回日本子ども虐待防止学会宮城大会においても発表し、「子ども家庭福祉研究」及び「子ども虐待とネグレクト」に投稿、採択された(研究成果参照)。こうした調査結果および文献研究に基づき、本年度はさらに、ファミリーソーシャルワーク実践モデルのたたき台を作成すべく検討を進めてきた。すなわちM-D&D(修正デザインアンドディベロップメント)の第1フェーズから第2フェーズへと開発的研究を進め、ほぼ予定通りに進捗している。以下、たたき台としての実践モデルの概要について説明する。 児童相談所からの措置を受け、児童の個別自立援助計画(子どもの最善の利益プラン:CBIP)を作成し、(1)施設での家族再統合ケースとして援助するか、(2)養子縁組を援助するか、それとも(3)児童が年長の場合は自立援助を行うかという3方向の援助フローを作成した。そして、それぞれのフローにおいてファミリーソーシャルワーカーとして情報収集と意思決定そして援助の実行という具体的な手続きを明確にした。このモデルは旧来のような意思決定フェーズを繋ぐ形のものではなく、単なるフローでもない。時系列のログ入力を軸とするまったく新しい形の手続き(due process)としてプログラムすることとした。こうした新たな手続き開発に関連する本年度の成果として公にした論文も11.の研究成果表に記載した。里親支援や専門職訓練のICTを活用したプログラム開発、そしてEBPに関わるものがそれらである。今年度も研究協力者は、石田賀奈子・山岡美智子・原佳央理である。
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Research Products
(7 results)