2006 Fiscal Year Annual Research Report
「原初的共感」の社会・生態学的基盤とその心的アーキテクチャに関する検討
Project/Area Number |
17330133
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
亀田 達也 北海道大学, 大学院文学研究科, 教授 (20214554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
結城 雅樹 北海道大学, 大学院文学研究科, 助教授 (50301859)
ウェア ポール 北海道大学, 大学院文学研究科, 学術研究員 (40396271)
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Keywords | 共感 / 進化 / 生態学 / 表情 / 進化ゲーム / モデル / 実験 |
Research Abstract |
「人間の共感能力とは何か」という問いは、人文・社会科学の共通の根本問題であると同時に、進化生物学などの自然科学領域にもまたがる巨大な問いであり、社会的存在としての人間を理解する上で極めて重要である。本研究では、「原初的共感」という人間の基礎的な感情作用に着目することで、「高次の共感」、「感情の本質的社会性」といったより大きな問題群を考究可能にするための、概念的な整備を体系的に行う。 18年度は、17年度に引き続いて、恐怖・警戒行動の転移現象に関する進化ゲームモデルの構築、及び、その検証実験を行った。とくに本年度は、二者間での恐怖伝染に関する新しい実験パラダイムの構築に力を注いだ。この実験パラダイムでは、ペアの被験者の一方(センダー)に恐怖映像を見せ、その間の表情表出を録画すると共に、皮膚伝導反応(SCR)などの生理反応を記録する。次に、もう一方の被験者(レシーバー)に、センダーの表情表出録画だけを(恐怖映像そのものは提示せずに)音声なしで見せ、その間の生理反応(SCRなど)を記録する。もし、表情観察による恐怖感情の転移が存在するなら、ペア(センダーとレシーバー)の間の生理反応は時間進行と共に次第に同期化するはずである。本年度はこの実験パラダイムの開発を進める目的で、同期化をどのように指標化するか、また、時系列データをどのように解析するかなどの統計的問題についても併せて検討した。予備的分析の結果は、時間進行と共に被験者ペア間での生理反応に同期化が生じることを示唆するが、測定ノイズの問題などいくつかの改善すべきポイントも見つかり、はっきりとした結論を得るためにはさらなるデータの収集が必要である。
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Research Products
(4 results)