2007 Fiscal Year Annual Research Report
「原初的共感」の社会・生態学的基盤とその心的アーキテクチャに関する検討
Project/Area Number |
17330133
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
亀田 達也 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 教授 (20214554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
結城 雅樹 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (50301859)
中島 晃 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教 (30312325)
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Keywords | 共感 / 進化 / 生態学 / 表情 / 進化ゲーム / モデル / 実験 |
Research Abstract |
「人間の共感能力とは何か」という問いは、人文・社会科学の共通の根本問題であると同時に、進化生物学などの自然科学領域にもまたがる巨大な問いであり、社会的存在としての人間を理解する上で極めて重要である。本研究では、「原初的共感」という人間の基礎的な感情作用に着目することで、「高次の共感」、「感情の本質的社会性」といったより大きな問題群を考究可能にするための、概念的な整備を体系的に行う。 19年度は、本研究の最終年度であり、これまでの研究知見を理論化する試みと、追加的な検証実験を行った。本年度は昨年度に引き続き、二者間での感情の同期化に関する理論構築に力を注ぎ、表情模倣と呼ばれる現象の特定に成功した。表情模倣とは、ターゲットの感情的な表情表出を、受け手が自分の表情表出に引き受ける(再現する)現象を指す。この現象については、母子間の表情模倣に関する古典的な研究が存在するものの、非血縁の成人間の模倣については断片的な知見の蓄積に留まっており、現象の再現性やその規定因はほとんど明らかにされていない。本研究では、表情模倣現象が相手の感情理解のための機能を有するという作業仮説を立て、顔筋の活動電位(EMG)を計測することで検証実験を行った。実験の結果は、この仮説をおおむね支持するものであった。これらの知見は、「原初的な共感」のエンジンとしての表情模倣現象の重要性を示唆するもので、人間の共感能力の理論化に向けて有意義な出発点となる。
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Research Products
(4 results)