2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17330140
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
白井 利明 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 教授 (00171033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 友嗣 関西大学, 社会学部, 教授 (10298838)
若松 養亮 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (50273389)
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Keywords | 教育系心理学 / フリーター / キャリア発達 / 時間的展望 / 自立 / 大人への移行 / キャリア支援 / 青年期 |
Research Abstract |
今年度は、収集したデータに基づき、キャリア発達理論の再構成を行った。 まず、昨年度に実施した質問紙調査の結果を分析した。有効回答は全国の23〜39歳の男女8336名にもなった。分析のしかたは、キャリアパターン、時間的展望、キャリア発達、社会への信頼感、社会学的変数のそれぞれ、およびその関連を検討した。キャリアを探索し、正社員へと移行しているかどうかをキャリア自立の指標とした。その結果、第1に、男性では正規雇用は独り立ちし,結婚している場合が多かった。第2に、将来はどうにかなるという受け身的な(easygoing)意識は非正規雇用が正規雇用より少ないことを示した。第3に、非正規雇用は正規雇用に比べて過去・現在・未来がつながっておらず,フリーター支援では時間的展望の統合を目指すことが必要であるとした。第4に、男性では収入や競争などの達成系の価値観,女性では家族・子どもといった家庭系の価値観が絶対視されていることを指摘した。第5に、社会への信頼感が定職への探求を促進することを見出した。 以上の分析結果および一昨年度のヒアリング調査の結果も踏まえ、キャリア発達理論の用件として次の知見を得た。第1に、フリーターのキャリア自立に対する心理的変数の意味が文脈依存的であるため、従来の直線型のキャリア発達理論ではフリーターのキャリア自立を説明するには不十分であり、キャリアコンストラクション理論などに基づく社会的文脈と個人の相互作用によるキャリア発達理論が必要であることを示した。第2に、社会的文脈と個人の相互作用について考えるにあたっては、内的・外的キャリアの考え方が重要となり、時間的展望の視点を取り入れたキャリア発達理論の再構築が不可欠であることを示した。第3に、時間的展望の視点を取り入れることによって示される新たな支援の方向性およびその具体的な展開については「自己・社会・決定」の3つの側面から検討できることを示した。
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Research Products
(2 results)