2007 Fiscal Year Annual Research Report
思春期以後の軽度発達障害者における実行機能の評価と自己理解の深度化支援-近赤外線分光計測法を用いて-
Project/Area Number |
17330147
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
篠田 晴男 Rissho University, 心理学部, 教授 (90235549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 洋二郎 立正大学, 心理学部, 教授 (20106214)
軍司 敦子 国立精神・神経センター精神保健研究所, 知的障害部, 室長 (70392446)
井上 祐紀 国立精神・神経センター精神保健研究所, 知的障害部, 流動研究員 (40415576)
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Keywords | 自己理解 / 実行機能 / CPT / NIRS / 前頭前野 / 思春期 / 青年期 / 支援 |
Research Abstract |
本年度は,研究の総括ならびに,新たな計測法の施行,臨床応用への展開をはかった。主な内容は,1.自己理解について:(1)自己理解の成熟にかかわる健常舎及び発達障害舎の評価に関する文献研究(2)試行版評価尺度の臨床事例への適用(3)手法の試行と臨床事例への適用の2点を通じて,告知・カミングアウトを乗り越えて成長していく過程に不可欠なエビデンス・べースの介入効果が示唆された。2.実行機能の評価について:(1)CPTを用いた注意集中・抑制制御能力を客観的に評価しうる認知神経科学的指標を見出した。特に前頭前野の脳血流動態は,思春期〜成人期において一定の活性水準が獲得され,課題の達成水準を反映しうるものであった。また,発達障害にかかわるスペクトラム性に応じた個入差が生じることも示唆された(2)ERP/NIRS同時計測の試み:CPT事態において,ERPを同時計測することで,P3の出現様相から前頭-頭頂間での抑制性の機能を併せて評価しうる可能性が示唆された。また,視空間的注意課題・ストループ課題等,実行機能に関連する他の課題についても併せて検討することで,より多元的な評価が可能になるものと考えられた。3.実行機能評価にかかわる自己制御能力と自己理解:(1)これら情報を当事者にフィードバシクし,自己の特性に基づいて援助希求を求めるチーム支援を実施した(2)就労支援につながるSST的な援助技法を試行し,自己の特性についての理解と対処スキルの向上に取り組んだ。臨床的には,感情制御の難しさも評価に組み込み,自己理解を深めつつ就労を目指す中で自亘理解の深度化め厳しさとそれを支える人的・物的支援の枠組みの重要性が確認された。4.思春期に到るまでの幼児期段階からの準備的な評価と介入も生涯発達の視点から重要なことが確認された。
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Research Products
(8 results)