2007 Fiscal Year Annual Research Report
大学を拠点とする地域臨床心理学の展開に関する研究-地域ニーズにあった柔軟な実践および教育の在り方を求めて
Project/Area Number |
17330148
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中田 行重 Kansai University, 文学部, 教授 (00243858)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 正治 九州産業大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (80038439)
下川 昭夫 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (90330729)
平野 直己 北海道教育大学岩見沢校, 教育学部, 准教授 (80281864)
|
Keywords | 地域臨床 / 地域風土 / サポート・グループ / ネットワーク / 子育て支援 / コミユニアイ / パーソンセンタード・アプローチ / 精神分析 |
Research Abstract |
これまでの2年間の研究を受けて、今年度はそれぞれの研究者が自分の研究をまとめる論文や発表をおこなった。中田は日本と西欧を比較し、文化や風土の違いと心理臨床観や理論の違いに影響していることを明らかにしつつある。宗教における神との関係や自己のあり方が、精神病理や心理療法の理論などにも大きく影響していることを、文献研究などを通じて明らかにし、論文にまとめ、これは更にイギリスの出版社からある著書の1章としても発行される予定である。村山はスクールやキャンパスへのコミュニティアプローチを展開した。学校教育においては、子供たちの間にコミュニティ感覚を作り出すことが重要であるとの視点から、エンカウンターグループの理念をクラス運営、特にいじめ問題への対応の方法として有効であることを明らかにした。また、大学の臨床心理学教育の例をとって、体験的なグループアプローチを応用することを試みている。下川は研究の方法論として、インタビュー調査を通して子育て支援のための地域ネットワーク「ママネットワーク」がどのように有機的に展開するかを明らかにした。その中では主に自己組織化するネットワークの力動を解明している。また、親面接が地域臨床と個人臨床の架け橋となりうることを論じた。平野はコミュニティアプローチのリーダーや心理臨床家の資質について「垂直-水平」次元を抽出し、地域にコミットし、ネットワークを展開する個人の活動を理論化した。偶発的な出来事で実践を展開する地域臨床家の活動は非漸次的な展開過程として記述しうることを提示している。今後もこれまでの蓄積をもとに、実践および研究の継続を予定している。
|
Research Products
(5 results)