2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17330151
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小川 園子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50396610)
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Keywords | 攻撃行動 / エストロゲン受容体 / 活動性 / 情動性 / 社会的探索行動 / 不安関連行動 / セロトニン |
Research Abstract |
(1)エストロゲンによる不安関連行動の制御におけるエストロゲンレセプターベータ(ER-β)の役割とその神経内分泌学的基礎の解析:性腺除去後に慢性的なエストロゲン処置を施された雄マウスの不安関連行動を明暗箱往来テストにより測定した。野生型(WT)マウスでは、エストロゲン処置により不安レベルの低減が見られたが、ER-βの遺伝子欠損マウス(βERKO)では、エストロゲンは全く効果がなかった。また、攻撃行動、情動行動への関与が指摘されているセロトニンの関連遺伝子であるセロトニントランスポーター(SERT)のmRNAレベルを、ER-βが高濃度で存在する中脳背側縫線核で測定したところ、WTマウスではエストロゲン依存的なSERTの増加が見られたが、βERKOマウスでは全く変化がなかった。 (2)攻撃行動の選択交配系マウスの行動解析:個体の攻撃行動発現レベルの高低が、個体の情動性、不安レベルや社会行動特性とどのように関連付けられるのかについて、攻撃行動のレベルを基に選択交配された、高、低攻撃性および非選択系の雄マウスを用いて検討した。オープンフィールド及び明暗箱往来テストでは、高攻撃性系のマウスは低攻撃性系や非選択系のマウスに較べて情動性や不安レベルが高いことが見いだされた。さらに、同種他個体という社会的な刺激への反応性や嗜好性を測定したところ、全体として高攻撃性系及び非選択系のマウスは攻撃行動の対象となり得る刺激雄マウスに対してテリトリー防衛的な探索行動を示すが、低攻撃性系のマウスはこの様な刺激個体を避け、攻撃行動の対象となり得ない性腺除去雄マウスへの接近を好むことが明らかとなった。従って、新奇・不安惹起場面への反応性といった個体行動のレベルにおいても、また社会的な刺激に対する反応性においても、高攻撃性系と低攻撃性系マウスは各々非選択系のマウスとは明らかに異なる行動パターンを示すと結論される。
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Research Products
(10 results)