2005 Fiscal Year Annual Research Report
<公共圏>を生成する教育改革の実践と構造に関する総合的研究
Project/Area Number |
17330174
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菊地 栄治 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教授 (10211872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一見 真理子 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, 総括研究官 (20249907)
澤野 由紀子 聖心女子大学, 文学部, 助教授 (40280515)
永田 佳之 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, 総括研究官 (20280513)
橋本 昭彦 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 総括研究官 (80189480)
吉田 敦彦 大阪府立大学, 人間社会学部, 助教授 (20210677)
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Keywords | 教育改革 / <公共圏> / 新自由主義 / 市場原理 |
Research Abstract |
本研究は、新自由主義の教育改革が席巻する現代の教育社会を<公共圏>という視点から再構築していく試みである。地方分権改革やある種の学校選択制の導入は、現代の教育ニーズに対応し、競争の果実が結果的にセーフティ・ネットの充実をもたらすであろうという根拠の乏しい前提にもとづいている。新自由主義の流れは、人間の「弱さ」「いたらなさ」をも含み込む「教育の論理」を後退させていく。日本の教育改革もこうした限界と向き合うものではなく、機械論的な世界観や操作主義的な教育観を増殖させている。こうした特徴は、当事者の内発的なエネルギーとかれら自身のコトバを見えにくい形で奪い取っていく。現代日本の教育社会の現実をこのように仮説的に整理する中で、諸前提が実際の一般国民の意識にどの程度浸透しているのか、新自由主義はいかなる構造的な基盤をもっているのか…等々について、理論的・実証的な検討を行う必要性が浮き彫りになった。 本プロジェクトでは、こうした問いと向き合うために、全国の成人男女1300名(層化多段無作為抽出)をサンプルとする質問紙調査を企画・実施した(平成18年3月)。調査項目は、自身の生育環境、学校経験、教育達成、教育改革観、世界観・子ども観、現在の生活状況など多岐にわたっている。次年度は、一人ひとりの構えがどのような形で新自由主義の教育改革を支え、<公共圏>を育む可能性を奪われているかを丁寧に分析する予定である。 さらに、<公共圏>を生成する教育改革の萌芽を公教育の中から探り出すために、全国の都道府県市区町村教育委員会2000余箇所を対象に資料収集調査を実施した。このデータに子細な検討を加えることで、地方主権や当事者をエンパワーし得る試みを発掘する。
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