2007 Fiscal Year Annual Research Report
中等学校法人による大学設置の研究-都道府県私学助成のはたした設割-
Project/Area Number |
17330175
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒井 克弘 Tohoku University, 大学院・教育研究科, 教授 (90133610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 直由 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 教授 (00125569)
山岸 駿介 多摩大学, 経営情報学部, 客員教授 (30298228)
大迫 章史 仙台白百合女子大学, 人間学部, 助教 (60382686)
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Keywords | 学校法人 / 中等学校法人 / 大学設置 / 私学助成 / 財政・財務 |
Research Abstract |
1、都道府県私学助成の分析 昨年度までに集積した私学助成に関する基本データを利用した分析の結果、本研究の当初の仮説(都道府県私学助成が高校法人(高校を設置する学校法人)の資金蓄積を可能にし、それによって大学設置を実現するという仮説)を直接に支持する分析結果は残念ながら得られなかった。しかし、その一方で、都道府県私学助成が高校の全入化段階を達成・維持するうえで重要な役割を果たしたという事実を確認することができた。この知見と本研究の仮説との関連は、以下の2点にまとめることができる。第1は、高校進学率を高水準に維持させることは、高校法人の経営(資金蓄積)状況に多大なメリットをもたらしたこと。第2は、高校進学率の上昇とその維持が国民の高等教育への進学要求を増大させ、高校法人が大学を設置するうえでの潜在的な市場を形成させたという点である。これらの意味で、都道府県私学助成は間接的に高校法人による大学設置に一定の影響を与えたと言いうるであろう。 以上のマクロデータによる分析に加えて、都道府県ごとの分析も研究分担者・研究協力者によって継続して行われた。詳細な分析結果は、研究成果報告書に記載された報告を参照されたい。 2、訪問調査の実施 今年度は、学校法人常葉学園への訪問調査を行った。常葉学園は静岡県の中で最大規模の学校法人の1つであり、同時に、中等学校法人が母体となって高等教育機関を設置したパターンの学校法人である。なぜ高等教育機関の設置に傾斜していったのか、またどのようにしてそれが可能であったのか、そうした点を中心にインタビューを行った。訪問調査記録は月例の研究会にて報告され、研究メンバーの間で情報の共有化を図った。 3、研究成果の発表 今年度の研究成果の一部を、日本教育社会学会第59回大会で報告した(渡部芳栄・荒井克弘・佐藤直由・猪股歳之「私立高校への都道府県私学助成の効果-高校全入化はいかに達成されたか-」)。
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Research Products
(15 results)