2005 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀特殊学級における統合と排除の両義性とインクルーシブ教育の源泉
Project/Area Number |
17330200
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
岡 典子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20315021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 満紀男 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (80000280)
米田 宏樹 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50292462)
佐々木 順二 筑波大学, 心身障害学系, 準研究員 (20375447)
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Keywords | アメリカ合衆国 / 公立学校制度 / 特殊学級 / インクルーシブ教育 / 障害カテゴリー / 歴史的検討 |
Research Abstract |
インクルーシブ教育の先進国であるアメリカ合衆国において、20世紀の特殊学級はどのような変容を遂げてきたのか。また、特殊学級に求められた社会的・教育的意義はどのようなものであったのか。 この問題を明らかにし、初年度にあたる本年はまず、特殊学級成立期に相当する19世紀半ばから20世紀第1四半期までの時期を対象として、その成立過程と教育課題を視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由およびその他の障害に区分し、各特殊学級の理念と初期の教育実態を事例的に整理することから着手した。その結果、すべての特殊学級に共有の課題と合わせて、次年度以降の分析にとって特に重要な、各障害カテゴリーに特有の検討課題を抽出することに成功した。さらに、特殊学級の実相は、決して今日のフル・インクルージョニストが指摘するような二分的状態、すなわち障害のない生徒との統合か、あるいは通常教育からの排除かといった単純な二者択一であったのではないことも、今年度の研究によって明らかとなった。このことは、特殊学級からの除外規定を整備することによって特殊学級自体に排除の要素を内包し、あるいは障害児の個別的ニーズに応えることによって、障害のない子どもからの隔離に結果するという受容と排除の矛盾的様相を混在させていたという当初の仮説を裏づけるものである。 また、障害カテゴリー別の検討に加えて今後、地域による異同比較を進めていくための基礎資料として、アメリカでもっとも早い時期に特殊学級が開設された合衆国東部、中西部の各都市を中心に、各都市教育委員会年次報告等の一次資料を精力的に収集し、その分類整理・分析作業にも着手した。
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Research Products
(6 results)