2006 Fiscal Year Annual Research Report
水メーザーの観測によるセイファート銀河の統一モデルの再考
Project/Area Number |
17340052
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中井 直正 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (80192665)
|
Keywords | 宇宙物理 / 電波天文学 / 銀河 / ブラックホール / 宇宙論 |
Research Abstract |
セイファート銀河やLINERなどの活動的銀河中心核(AGN)を水メーザーで観測することにより、ブラックホール周囲にあるガス円盤・質量降着円盤の構造と質量降着の研究を行う。AGNからの超強力水メーザー(メガメーザー)を超長基線干渉計(VLBI)で観測すると光学観測などに比べ100倍以上の高い空間分解能で銀河中心核の構造と運動を調べることができる。これまでの4例ほどのメガメーザーでブラックホール周囲を回転しているメーザー円盤が調べられた。その結果、メーザー円盤にはその厚み(あるいは円盤半径に対する円盤の厚みの比率)が非常に薄いものと厚いものの2種類が存在し、質量降着率やセイファート銀河の種類に大きく関係していることが示唆されている。本研究ではさらに観測例を増やしてこれを明確にするとともに、その起源を明らかにすることが目的である。 観測に使用する望遠鏡は国土地理院所有の32mパラボラアンテナである。これに水メーザーの周波数である22GHz受信用の受信機を開発し搭載した。初段増幅部は20Kに冷却したHEMT増幅器を使用し、第一中間周波数は4-8 GHz、第二中間周波数部は0-1 GHzである。また単一鏡観測用の強度較正装置、スペクトルを得るための1GHz帯域幅の電波分光計、および望遠鏡制御システムを製作した。望遠鏡の空間分解能はHPBW=100"、開口能率は0.34、主ビーム能率は0.37である。大気込みシステム雑音は冬季快晴時に天頂でTsys=70-80Kと良好な値を実現した。今後はこれを用いて活動的銀河中心核の単一鏡観測および超高空間分解能のVLBI観測を行い、セイファート銀河の中心核の構造を調べる。
|
Research Products
(2 results)