2005 Fiscal Year Annual Research Report
次世代電子・陽電子衝突実験のためのTOF測定器の開発研究
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17340067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
駒宮 幸男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80126060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐貫 智行 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (70323491)
吉見 弘道 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (90044784)
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Keywords | 飛行時間測定器 / 光電子増倍管 / 青色半導体レーザ / BES-III / BEPC-II |
Research Abstract |
本研究では、中国IHEPで計画されているBES-III実験用に飛行時間測定器(TOF)の設計を進めてきた。今年度は、主に、TOFカウンターに用いる光電子増倍管(PMT)の最終設計および量産後の性能試験を行っている。 PMTの設計に際しては、まずPMTの使用増幅率について検討した。長期間にわたってPMTの性能を維持するためには、増幅率を下げてアノード電流を低く抑えることも必要になる。BELLE実験の経験等により、数年あるいは10年以上にわたってPMTを安定に動作させるには、アノード電流を約1μA以下に保つ必要性が指摘されている。加速器内で発生するバックグラウンドに関する考察を進めたのち、5e05を使用増幅率とした。さらに、高電圧分割回路と、プレアンプを含めたハウジングを設計した。 従来、PMT試験用の光源には、窒素ダイレーザーを使うのが一般的であったが、パルスの繰り返し頻度が低い、寿命も数ヶ月程度と短いなど数多くの問題を抱えていた。本研究で導入した青色レーザダイオードは、近年の性能向上がめざましい。レーザダイオードでは、立ち上がり時間も十分に速いため、時間測定を行うPMTの光源として利用できる。また、寿命も数年程度とされ、その間のパルスの安定性に大変優れている点も、レーザダイオードの強みである。予備試験を通して、レーザダイオードの特性を詳細に理解し、PMTの試験用光源として非常に優れていることが分かった。この光源を使って、BES-III TOF用として生産された約550本のPMTについて、その動作・特性試験を高エネルギー加速器研究機構(KEK)にて行っている。陽子シンクロトロン(KEK-PS)の東カウンターホールにある牛若電磁石を用いることで、BES-III検出器と同じ磁場1テスラでの電流増倍率の電圧特性や時間分解能の光量依存性等を評価している。
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