Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白水 徹也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (10282716)
早田 次郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00222076)
田中 貴浩 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40281117)
小玉 英雄 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40161947)
中尾 憲一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90263061)
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Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続き,分担者各自が,それぞれの方法や側面から高次元時空の物理を追求した。その結果,以下の成果を得た。 重力理論の検証に関する成果: 6次元ブレーンワールド模型における4次元有効理論の導出を行った。また,Einstein重力理論からのずれを銀河の高次相関関数などから制限をつけた。また,DGPモデルの自己加速解におけるゴースト不安定性に関して,摂動的,非摂動的な考察をおこなった。その結果,このゴーストを消すことは難しいが,実は致命的なモデルの欠陥ではない可能性を指摘した。その他にも,RSIIモデルにおけるブラックホールの研究を行った。さらに,無衝突粒子の無衝突粒子の多体系の安定性と重力崩壊の研究も行った。一つは,球対称系で臨界重力崩壊の解析的なモデルの構築で,もう一つは,円筒対称系で,角運動量を持つ無衝突粒子が無限に薄い円筒殻上に分布した静的な形状の安定性の解析である。 宇宙論への影響に関する成果: 負の宇宙項をもつ時空での回転ブラックホール解について,テンソル型摂動に対する不安定性が起きる条件を明らかにした。また,ブレインワールドブラックホール解の摂動論的構成を定式化し,バルク時空が4次元の場合に解が無限個ある可能性を指摘した。また原始ブラックホール誕生の形成機構を調べるための空間多次元の数値相対論コードを開発し,分解能を変化させた計算を行った結果,正しい解が求まることを確認した。一方,弦理論の補正項によって原始背景重力波の円偏極が生成されることを示し,それがCMBの偏光観測によって検出できる可能性を示した。さらに,こうした高次元理論に基づくインフレーションモデルでしばしば現れる曲率揺らぎの非ガウス性を解析するファインマン図的解析手法を開発した。また,高次元ブレーン宇宙上にコンパクトな余剰次元がある場合の宇宙論を考察し,そのような宇宙では,低エネルギー極限でも余剰次元の影響が残る可能性を指摘した。
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