2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340078
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 泰樹 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (80028240)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋 達志 大阪大学, 核物理研究センター, 助手 (10222035)
高久 圭二 大阪大学, 核物理研究センター, 助手 (30263338)
井頭 政之 東京工業大学, 原子炉研, 助教授 (10114852)
大崎 敏郎 東京工業大学, 原子炉研, 助手 (80262327)
梶野 敏貴 自然科学研究機構国立天文台, 理論研究部, 助教授 (20169444)
|
Keywords | 恒星内元素合成 / 超金属欠乏星 / s過程元素 / 中性子捕獲反応 / keV中性子 / NaI検出器 / 即発ガンマ線 / マックスウエル断面積 |
Research Abstract |
原子核の中性子捕獲反応断面積の測定は恒星内温度に相当する10keVから100keVの中性子をパルス陽子により^7Li(p, n)^7Be反応で生成しこれを用い行う。この反応でQ値近傍(Q=1.88MeV)の場合中性子エネルギーは実験室系で平均30keVである。しかし本実験で測定するNi等の中重核は励起準位密度が高いため中性子エネルギー1keVから10keVの間に大きな共鳴状態を持つと予測されるものが多い。その結果、Maxwell平均中性子捕獲断面積はこの10keV以下の断面積の値が大きく影響する。そのため本研究では先ず1keVまでの低エネルギー中性子を生成する方法の開発を行った。その結果2.5keV以上の中性子をNaI(T1)検出器で高感度で検出し利用する方法が確立した。そしてこの中性子を用い^<62>Niの中性子捕獲反応断面積を2.5keVから115keVにわたって初めて成功裏に測定した。この反応断面積は、欧米チームの結果と我々の以前報告した値が50%強異なっており大問題になっている。今回の結果は現在解析中であるが、世界で初めて天体核物理で重要な反応断面積が高精度で求められたと考えている。尚この測定では中性子生成用の高品質の^7Li標的の開発が急務であったが、真空蒸着前に金属^7Liを液体窒素に冷やし氷状にした後蒸着する事でその生成方法を確立した。その開発成果は国際誌に公表した。又^7Li(n,γ)^8Li反応断面積を太陽ニュートリノ問題及び初期宇宙における中重元素合成の興味から測定した結果をまとめ国際誌に公表した。更に初期の太陽形成時に於ける重要なD(n,γ)^3H反応断面積測定の結果をまとめ同じく国際誌に投稿した。又^<18>O(n,γ)^<19>O反応の部分断面積の測定で理論の予想と150倍も異なる結果を得たが、それが^<18>Oの構造と密接に関係していること、従来ANCという方法で確立されたと思われていた(d,p)等の1粒子移行反応を用いた捕獲反応断面積推定法の限界を指摘した。
|
Research Products
(4 results)