2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340078
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 泰樹 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (80028240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋 達志 大阪大学, 核物理研究センター, 助手 (10222035)
高久 圭二 大阪大学, 核物理研究センター, 助手 (30263338)
井頭 政之 東京工業大学, 原子炉研, 助教授 (10114852)
梶野 敏貴 国立天文台, 理論研究部, 助教授 (20169444)
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Keywords | 恒星内元素合成 / 中性子捕獲反応 / sプロセス / 熱エネルギー / ドアウエイ状態 / 金属欠乏星 |
Research Abstract |
大質量星において水素燃焼からII型超新星爆発に至る間に遅い中性子捕獲(s過程)で合成される元素量についての理論計算がRauscherらにより行われた。その結果NiからSrに至る核種について30倍の過剰生成が明らかにされた。過剰生成因子は様々な検討から10倍が妥当とみなされているので、因子3の過剰生成である。ところで大質量星のs元素合成機構は最も成功していると考えられているが、実はこの過剰生成は10年前からの大問題である。中性子捕獲反応断面積の不定性が過剰生成の原因の1つと考えられている。本研究では特に62Niの中性子捕獲反応断面積について未測定であった4.5keVの共鳴領域について実験手法を新たに開発し測定し高精度で62Niの断面積を決定できた。その結果、上記過剰生成は計算に使用した中性子捕獲断面積が正しくなかった事に起因する事が判明した。 ついで金属欠乏星において中性子毒として作用する可能性のある180の中性子捕獲反応についてkeV領域及び熱エネルギー領域において解析と実験を行った。前者では、中性子捕獲反応が180の2hole-4particle状態に捕獲され1hole-4particleのドアウエイ状態を経由して進行している事をはじめて明らかにした。また後者においても捕獲反応が180の2hole-4particle状態に捕獲されて進行している事を始めて明らかにした。これら結果は、従来全く見付けられていなかった新しい現象であり、keV領域及び熱エネルギー領域における中性子捕獲反応過程に大きなインパクトがあるものとなった。
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Research Products
(4 results)