2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340085
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
金子 敏明 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 教授 (40177522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 節彌 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 教授 (40152996)
湯浅 富久子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 助教授 (00203943)
石川 正 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 助教授 (90184481)
藤本 順平 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (90202291)
栗原 良将 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (50195559)
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Keywords | アルゴリズム / 計算物理 / 国際協力 / 素粒子実験 / 素粒子論 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、LHC実験で重要な役割を果たすQCDプロセスの高次効果(NLO-QCD)を含む、イベント・ジェネレータを作成するための研究を行った。高次効果の計算で必要となるループ積分は従来のリダクションと呼ばれる方法では、位相空間の一部で数値的に不安定となる欠点がある。本プロジェクトでは数値的に安定で計算時間が短くなる独自の方法を開発している。これは、ループ積分をテンソル積分も含めて、超幾何関数で表現し数値化する方法で、特に今年度は2、3本の外線が質量を持つ場合について、数値積分を組み合わせた方法によるループ積分プログラムを開発した。 一方、具体的な反応過程としてqq-bar→W+jetを取り上げ、NLO高次補正の計算を行った。この過程のパートンレベルに対するNLO高次計算はすでに成されているが、終状態のjetと始状態に陽子の構造関数とを矛盾なく取り込んだ計算はまだ存在しない。当該年度ではQCDの1-ループ補正と1-グルーオン放出過程との間の発散が消えていることを確認した。いったん計算手続きが確定すればそれを自動化し数多くのNLO高次計算を遂行することが容易になる。その手続きがほぼ確定した。 これまでに数値積分法によりループ積分を数値化する方法は世界中で試みられてきたが、赤外発散を持つループ積分に関しては解析的手法を適用せざるを得なかった。その主な理由は被積分関数が特異なふるまいをするために、桁落ちが生じやすかったためと考えられる。本プロジェクトの目的のひとつにはこうした状況を数値解析の手法で打破を試みることにあった。そこで当該年度では、多倍長計算の実行によりこの問題を克服できるかの検討を行った。結果、1-ループの3点関数に関しては、8倍精度で計算を行えば、十分小さく光子の質量を設定しても積分が可能であることを示した。
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Research Products
(6 results)