2006 Fiscal Year Annual Research Report
元素選択性のない室温高密着コーティング法の高機能化の研究
Project/Area Number |
17340086
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
菅井 勲 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (80150291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 泰弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 技師補 (70391745)
小柳津 充広 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 技師 (30391717)
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Keywords | コーテング / ターゲット薄膜 / 密着性 / 化合物 / クロム膜 / シリコン膜 |
Research Abstract |
昨年度製作した高さ35cm直径25cmの肉厚2cmのアクリル製高圧容器に実験用HIVIPP法によるコーテング装置を取り付け次の実験を行った。 高圧ガスとして反応性ガスの大気の空気、窒素、酸素、希ガスとしてヘリウムとアルゴンを用いた。 2.5気圧に於ける各媒質ガスの最大印加電圧を測定した。その結果、空気が26kV,酸素ガスが25kV,窒素ガスが24kVの耐印可電圧を突き止めた。しかし、希ガスのヘリウムとアルゴンガスは最大12kVで放電する。このためコーテング膜厚は印加電圧に強く依存するので稀ガスは実用的には使用不可能であることが分かった。 本研究の基本原理と特性を知るため、資源として無尽蔵の乾燥高圧空気を用いた。コーテング試料として金属クロム粉末(60ミクロン)を用い、コーテング基板として厚さ0.3mmの銅基板を用いながら次の実験を行った。1)空気〔1気圧から9気圧〕と各気圧における単位時間当たりのコーテング厚さ〔μg/cm2/h〕,2)2.5空気圧、印加電圧20kVを一定にして、コーテング時間による膜厚、3)印加電圧によるコーテング膜厚特性。上記1)の実験から、2.5の低気圧でも25kVの高印加電圧が掛けられること,しかも。コーテング膜厚が90μg/cm2/hの最大を示した。これは大気圧では約10kVなので2.5倍の高電圧が印加出来る。これはコーテング速度も格段に高くなり実用化できることを意味する極めて重要な知見を得た。 真空中でのHIVIPP法によるクロムの色はメタル色を示すが、空気圧下でのコーテング色は薄いときは紺色を、厚膜のときは黒色を呈した。この色の違いは空気の媒質成分との反応によるもので化合物が形成されていると思われる。筑波大学応用加速器部門の1.8MeVのTANDETRON加速器を利用してPIXE法とRBS法で高圧空気、酸素それに窒素ガスで製作したクロムターゲット、それに同じ条件で作成したシリコンターゲットの元素組成分析を行った。その結果、各クロムとシリコンターゲットには明らかな窒素成分が検出されなかった。しかし、酸素成分は真空中以外の各ガスでコーテングしたターゲットには検出された。結論として、高圧空気や酸素、窒素ガスを用いれば25kVの高電圧が印加できるため真空ポンプなしでも密着性の高い高速でコーテング膜を作成できることを実証した。
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Research Products
(3 results)