2006 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電性量子協力現象における光誘起バイブロニックソフトモードダイナミクスの解明
Project/Area Number |
17340088
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武貞 正樹 北海道大学, 大学院理学研究院, 講師 (30311434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 彰 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (40142682)
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Keywords | 光誘起協力現象 / ソフトモード完全凍結 / 量子強誘電体 / 低振動数ラマン散乱 / 光誘起バイブロニック強誘電性 / SrTi^<18>O_3 / 量子常誘電体 / 電子-格子相互作用 |
Research Abstract |
本研究は光により結晶内に励起された電子とフォノンが結合し出現する協力現象(光誘起バイブロニック型強誘電性量子協力現象)に着目し、この協力現象を統一的に動的機構の観点で解明することを目的としている。そして電子状態を考慮した新しいソフトモード概念を構築する。本年度は昨年度実現した広帯域高分解能光誘起ダイナミクス測定システムを用いて量子常誘性・量子強誘電性電物質群で光誘起バイブロニック相互作用する強誘電性ソフトモードダイナミクスについて超低振動数分光実験を昨年に引き続き進めている。ここでは従来の研究で特に報告例が無い0.1-150GHz(0.003-5cm^<-1>)領域で光散乱スペクトルを観測した。そして先ず非励起下の実験により強誘電性ソフトモードダイナミクス解明のために極めて重要な知見を得ることに成功した。具体的には新奇物性発現の期待から世界的に注目されている量子強誘電性相転移を示すSrTi^<18>O_3において5cm^<-1>以下の低振動数領域で強誘電性ソフトモードが完全凍結する様子を観測することに成功した。本研究により1959年にCochranによって提案されたソフトモード概念を満足する理想的な系を初めて発見することに成功した。本研究成果により量子常誘電体で観測される光誘起効果の発現機構は励起された電子とソフトモードフォノンの間の電子-格子相互作用が重要な役割を演じていることを明らかにした。[出版公表]さらに量子常誘電体の光誘起効果が出現する温度領域の光伝導性に着目し、微量の元素置換で光伝導性を制御したKTaO_3結晶の光誘起低振動数光散乱スペクトルを観測し、新しく出現するモードを発見し、伝導性とフォノンが密接に関係していることを明らかにした。またさらに新しい光誘起バイブロニック型強誘電性物質として期待される層状ペロブスカイト酸化物の作成に成功した。[出版公表]
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Research Products
(6 results)