2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340089
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上原 洋一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (30184964)
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Keywords | 振動分光 / 原子・分子 / STM / 光学分光 |
Research Abstract |
本研究計画の目的は、STM探針直下に位置する吸着種の振動運動によりSTM発光スペクトル中に誘起される微細構造の解析からその表面吸着種の振動エネルギーを決定するための手法を確立することにある。研究計画調書に基づいて策定した平成18年度の実施計画に沿って研究を進め、以下の成果を得た。 (1)振動の励起機構の解明: 原子水素源を用いてAg単結晶上に原子水素を吸着させ、振動が局在プラズモンにより強く励起された場合の発光スペクトルを観測した。局在プラズモン励起が弱いNi基板に吸着した場合と比較することにより、振動がトンネル電子により励起された場合と局在プラズモンにより励起された場合の発光スペクトルの違いを明らかにした。 (2)計測可能な振動モードの解明 単純系:STM発光分光と他の手法で得られる結果の整合性を確認した。Ni(110)-(2x1)O表面のSTM像は明るくイメージされるナノ領域と暗くイメージされるナノ領域の2つの領域からなる。STM発光分振動分光により暗くイメージされる領域にのみ酸素が吸着していることが示された。しかし、両方の領域に酸素が吸着しているとする研究発表も幾つか存在する。我々の結論を確認するために、各ナノ領域のラマン分光を探針増強法(探針増強ラマン分光)で行った。その結果、暗くイメージされている領域上で探針を固定した場合にのみ酸素の振動エネルギーに対応するラマンピークが観測され、STM発光振動分光法の結果が追認された。なお、この実験は、研究実施者の知識の範囲では、超高真空環境下で単層の吸着種に対して行われた初めての探針増強ラマン分光計測である。 複雑系:ベンゼン、ピリジン等の「複雑」ではあるが「市販されている量子化学計算コードで振動エネルギーが計算できる」有機分子を吸着試料とした実験を開始した。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article]2006
Author(s)
K.Hayashi, R.Arafune, S.Ueda, Y.Uehara, S.Ushioda
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Journal Title
Derivative spectra of very low energy photoelectrons from CO/Cu(001) surface obtained by a lock-in technique 75・10
Pages: 104303