2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属フォトニック結晶スラブにおける光起電力現象の解明
Project/Area Number |
17340092
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石原 照也 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (60168250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩長 祐伸 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (20361066)
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Keywords | photonic crystal / photovoltaic effect / photon drag effect / metamaterial / negative refraction |
Research Abstract |
電子線リソグラフィーで厚さ40nmほどの金薄膜を非対称ユニットセルをもつようにパターン化し、光起電力を測定した。角度依存性ではすでに得られている対称構造のユニットセルをもつフォトニック結晶スラブと類似の波長に依存してシフトする構造が観測された。特徴的なのは垂直入射における光起電力である。対称構造では垂直入射においては正確に光起電力は0となるが、非対称構造では有限の光起電力を示す。これは光整流効果にほかならない。垂直入射の起電力も波長に依存し、正にも負にもなりうることがわかった。垂直入射で起電力が生じる原因は回折強度の非対称性にあると考えられる。数値計算で+n次、-n次の回折強度の波長依存性を計算し、光起電力の波長依存性と比較したところ、定性的な一致をみた。非対称構造をもったフォトニック結晶を特徴づけるため、透過スペクトルの角度依存性の測定を行ったが、大きな変化はみられなかった。このことは数値計算においても確認された。一方、吸収スペクトルの角度依存性は透過スペクトルよりも顕著である。これは回折強度の角度依存性に対応していることがわかった。回折強度の角度依存性を信頼できる形で測定する装置の開発が今後必要であると考えられる。 回折を生じないメタマテリアル領域の光起電力を測定した。金/アルミナ/金の3層膜に正方配列で円形の孔を空けた構造が、負の屈折を示すことがU.New Mexicoのグループからすでに報告されているが、今回我々はこの構造を作製し、光起電力を測定することにより、負の屈折領域のモードが負の群速度を持っていることを実験的に明らかにした。これらの結果は鹿児島で開かれた日本物理学会で発表したほか、2007年4月にMonterey, CA, USAで開かれるフォトニック結晶の国際会議(PECSVII)で報告する。現在論文を準備中である。研究発表として登録した2編は関連論文である。
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Research Products
(2 results)