2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機半導体デバイスにおける電界注入キァリアーの電子スピン共鳴による研究
Project/Area Number |
17340094
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒田 新一 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (20291403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 裕 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10260374)
丸本 一弘 筑波大学, 大学院・数理物質科学科, 准教授 (50293668)
田中 久暁 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50362273)
下位 幸弘 産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門ナノ構造物性理論グループ, 主任研究員 (70357226)
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Keywords | 有機半導体 / 電界注入 / 電子スピン共鳴 / ルブレン / ペンタセン / フラーレン / ポリアルキルチオフェン / ポーラロン |
Research Abstract |
本年度は、これまでに開発してきた電場誘起電子スピン共鳴(ESR)法を以下に示す有機半導体デバイスに適用し、デバイス中のキャリアー特性のミクロ観測を行った。 (1)大阪大の竹谷グループ、東北大の岩佐グループとの共同により、有機半導体の中で最も高い電荷移動度を示すルブレン単結晶の電場誘起ESR観測を行った。物理気相輸送法により得られたルブレン単結晶を、金電極が作製されたシリコン絶縁膜基板上に貼り付け、ボトムコンタクト型電界効果トランジスタ(FET)構造を作製した。この構造により、標準的なFET特性を得、さらに同一試料で電気容量測定、および電場誘起ESR測定に成功した。電場誘起ESR信号はルブレンのπ電子に起因する異方性を示し、ルブレンへの正キャリアー蓄積を確認した。さらに、ESR線幅に明瞭なmotional narrowing効果が観測され、ルブレンの高い移動度を反映したキャリアーの運動をミクロに示すことに成功した。 (2)両極性FET材料として期待される立体規則性ポリアルキルチオフェン(RR-P3AT)/PCBM複合体の電界効果デバイスをAl_2O_3絶縁膜上に作製し、電場誘起ESR観測を行った。PCBMはC_60の可溶性誘導体である。正負の電圧印加により、高分子上の正ポーラロンとPCBMラジカルアニオンの両極性キャリアーのESR観測に成功した。また、仕事関数の異なる電極(Au及びAl)を用いることで、キャリアー注入量が制御されることを示した。さらに、PCBMを高濃度に含む複合体のFETを疎水化処理したSiO_2絶縁膜を用いて作製し、両極性FET動作の観測に成功した。 これまでの研究により、RR-P3ATでは電荷注入量の増加に伴い、電荷担体がスピンを持つポーラロンからスピンを持たないバイポーラロンへ変化し、スピン注入量が飽和することがわかっている。他方、本研究で用いたペンタセンやルブレン、フラーレン等の低分子ではスピンの飽和が観測されなかった。従って、有機半導体デバイスにおいて分子構造の違いを反映したキャリアー特性を示すことに成功した。また、ESR法が絶縁膜界面における分子配向評価に有用なことが示された。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Metal-insulator transition of charge transfer salts based on unsymmetrical donor DMET and metal halide aniolls, (DMET)_4(MCl_4)(TCE)_2(M=Mn, Co, Cu, Zn; TCE=1,1,2-trichloroethane)2007
Author(s)
H. Ito, H. Tanaka, S. Kuroda, M. Umemiya, M. Yamashita, E. Ohmichi, T. Osada 他
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc 129
Pages: 8510-8518
Peer Reviewed
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