2006 Fiscal Year Annual Research Report
チタン酸ストロンチウムにおける高移動度二次元電子ガスの創成と新奇な量子相の探索
Project/Area Number |
17340103
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
HWANG H. Y. 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (30361611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須崎 友文 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (20332265)
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Keywords | 強相関電子系 / 結晶成長 / 低温物性 / 低次元物性 |
Research Abstract |
本研究はチタン酸ストロンチウムに二次元電子ガスを形成することを目的としている。そのためにはチタン酸ストロンチウム、ひいては一般的に遷移金属酸化物のヘテロ界面の電子状態を理解することが必要不可欠となる。本年度の研究概要を以下に大別して記す。 1.チタン酸ストロンチウムと他の遷移金属酸化物の界面電子状態を、接合特性を用いてプローブすることを試みた。その結果、マンガン酸化物との界面では輸送特性とスピンの強い結合により、磁場で化学ポテンシャルシフトが起こり、接合特性が変調されることを見出した。さらに詳細な解析を行い、その接合特性には電子のトンネルが非常に重要な役割を果たしていることがわかった。 2.従来の半導体とのアナロジーから、モット絶縁体を用い量子井戸構造を作製し、そこにおける電子状態を把握することを試みた。材料はバナジウム酸ランタンを用いた。X線光電子分光を用いることでバナジウム酸化物の表面における電荷再構成により、バルクでは存在しないバナジウムの四価が表面1層のみに形成されていることがわかった。また、薄膜の成長条件を制御することでバナジウムの三価と五価の競合相が形成される。透過電子顕微鏡によるEELS測定で、その相界面にも四価のバナジウム酸化物が形成されていることがわかった。 3.バナジウム酸ランタンをチタン酸ストロンチウム基板上に堆積させ、その界面伝導特性を測定した。基板の終端面制御によりn型とp型の界面を作製することに成功した。n型界面は金属的であるのに対し、p型界面は絶縁体であることがわかった。 4.チタン酸ストロンチウムに紫外光を照射することでその光伝導特性を調べた。その結果、伝導特性は化学ドープと同様の高移動度をもつでんしによって担われていることがわかった。この手法を用いれば、光強度でキャリア濃度を、波長で電子ガスの厚みを別個に変調できることを見出した。
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Research Products
(6 results)