2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340109
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田島 節子 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70188241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 研一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10189988)
増井 孝彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10403099)
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Keywords | 高温超伝導 / 銅酸化物 / サブミリ波領域分光 / 不均一状態 |
Research Abstract |
今年度は、(1)低エネルギー領域の分光を可能とするような十分な大きさの高温超伝導体結晶の作製、(2)サブミリ波領域の分光システムの構築、の2点に注力した。(1)については、(Y,Ca)Ba_2Cu_3O_yの単結晶を引き上げ法で育成し、一軸圧力下での酸素アニールによる無双晶化を行った後に、キャリア濃度調整のための酸素中ポストアニールを行った。CaなしのYBa_2Cu_3O_yについては、3mm角程度の大きさの試料が得られ、遠赤外分光を開始しているが、Ca置換結晶については、また十分な大きさのものを作製できていない。今後は、大きなCa置換結晶の育成を目指す予定である。 (2)については、当初予定していたBWOチューブを備えた光源を使った通常の反射率スペクトル測定を取りやめ、超短パルスレーザーを用いた時間領域分光という新しい手法を採用することにした。計画変更の主な理由は、購入を予定していたBWOチューブが(すべてロシア製)4月に入ってから5割も価格が高騰するという予想外の事態が起きたことである。ある程度広い波長範囲をカバーしようとすると、非常に多くのBWOチューブを購入しなければならず、予算の範囲内での購入が不可能になった。 そこで方式を全く変え、研究室現有のチタンサファイヤレーザーからの超短パルス光を半導体にあててサブミリ波を発振させ、それを用いて時間領域分光を行うことにした。今年度は、この新しい分光方法を習得するために、まず半導体を用いた予備実験を行い、反射分光測定に必要な光学系やクライオスタットの設計を行った。金ミラーや(La,Sr)_2CuO_4を用いて反射予備実験を行ったところ、通常行われている透過型測定と異なり、さまざまな問題点が明らかになった。次年度は、光学系や試料ホルダーに種々の工夫を行って、これらの問題点を克服し、高温超伝導体のサブミリ波領域の分光を行う予定である。
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Research Products
(5 results)