2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17340109
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田島 節子 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (70188241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 研一 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (10189988)
増井 孝彦 大阪大学, 大学院理学研究科, 助手 (10403099)
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Keywords | 高温超伝導 / 銅酸化物 / テラヘルツ分光 / 不均一状態 |
Research Abstract |
今年度は、サブミリ波領域の分光システムの改良と、遠赤外分光による過剰ドープ高温超伝導体の電荷応答スペクトルの測定を行った。 前者については、サブミリ波の集光口径が試料サイズより小さくなるよう、光学系を工夫すると同時に、LSCO単結晶を育成して大きな試料を用意した。また、反射型分光にとって必要不可欠なビームスプリッターが、内部での多重反射干渉を引き起こすという問題があったが、これを解決するためにワイヤーグリッドを用いることにした。これらの改善の結果、昨年より精度の高いデータを測定することができるようになった。 一方、遠赤外分光によって、昨年度作製した無双晶(Y,Ca)Ba_2Cu_3O_y単結晶のa軸偏光、b軸偏光反射スペクトルを測定した。a軸偏光スペクトルからは、純粋なCuO_2面の応答が得られることが期待される。以前測定した最適酸素濃度のYBa_2Cu_3O_yのa軸偏光スペクトルと比べて、酸素過剰の試料のスペクトルは超伝導転移温度以下でも反射率が100%より低く、超伝導対形成に関与しない不対電子の存在が示唆された。この傾向は、極端な過剰ドープのCa置換YBCOの場合、更に顕著になることも確認された。原因として、キャリア過剰ドープによって、何らかの対破壊現象が起きているか、或は超伝導相と非超伝導金属相とに分離しているか、のどちらかが考えられる。高温超伝導体の電子相図を理解する上でも、超伝導機構解明の観点からも、重要な知見である。 同時に測定したb軸偏光スペクトルからは、a軸スペクトルとの差をとることで、CuO鎖だけに起因する伝導度を抽出した。これを見ると、十分に酸素を導入した試料のCuO鎖は、常伝導状態で金属的な振る舞いをするだけでなく、超伝導転移温度以下でギャップが開いたと思われる応答を示した。CuO鎖の伝導度スペクトルにおいて、直接超伝導応答が観測できたのは、初めてである。
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Research Products
(6 results)