2005 Fiscal Year Annual Research Report
スピン偏極電流によるコヒーレント磁化反転とそのダイナミックス
Project/Area Number |
17340110
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 義茂 大阪大学, 基礎工業研究科, 教授 (50344437)
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Keywords | 物性実験 / スピンエレクトロニクス |
Research Abstract |
磁性体からなるナノピラーやナノワイヤーに電流を流すと、伝導電子のスピンと局在スピンモーメントの間で角運動量の移動(スピントランスファー)が生じ磁化反転や磁壁の移動が可能である。しかし、これまでの多結晶系における実験ではスピントランスファーは注入スピンの緩和に伴って起こり、スピントランスファーに関してコヒーレントな現象は見出されていない。 今年度は、電子の波動関数の対称性と干渉性の制御された高品質単結晶ナノピラーおよびナノワイヤーにスピン偏極電流を注入し、高周波応答を観測することによりスピン角運動量の移動のダイナミクスを解明することを目指した。 まず、様々な素子の高周波特性を評価するために、スピントランスファー素子用の高周波特性評価装置を開発した。次に、微小磁性体の強磁性共鳴を測定することを目指し、この装置を用いた測定感度の見積もりを行った。具体的には、電磁波の導波路幅を様々に変化させたウェーブガイドを作製し、そこに強磁性体のワイヤーを固定し、その強磁性共鳴を測定した。その結果、線幅1.5μmでも十分な強度の共鳴信号を観測することに成功した。 続いて、電子のコヒーレントな伝導が巨大トンネル磁気抵抗効果を生み出すとされているMgOを障壁層に用いたトンネル接合素子にスピン偏極電流を注入し、素子からの高周波応答を測定した。素子内の磁性層におけるスピンの歳差運動に伴う共鳴ピークを高感度に観察することに成功し、スピントランスファーによるダイナミクス解明への道筋が示された。
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Research Products
(4 results)