2006 Fiscal Year Annual Research Report
スピン偏極電流によるコヒーレント磁化反転とそのダイナミックス
Project/Area Number |
17340110
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 義茂 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50344437)
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Keywords | 物性実験 / スピンエレクトロニクス |
Research Abstract |
強磁性体からなるナノピラーやナノワイヤーに電流を流すと、伝導電子のスピンと局在スピンモーメントの間で角運動量の移動(スピントランスファー)が生じ磁化反転や磁壁の移動が可能である。しかし、これまでの実験では温度上昇に伴いスイッチング速度が低下するなど単純な理論からは理解できない現象が見られた。そこで、本研究では、電子の波動関数の対称性の制御された高品質単結晶バリヤナノピラーおよびナノワイヤーにスピン偏極電流を注入し、スピン角運動量の移動のダイナミクスを解明することを目標に実験を行った。 まず、素子に斜め方向に磁場を印加した状態で高周波電流を与えることにより、スピントルクによる強磁性共鳴を誘起し、整流作用を得た。この整流電圧の周波数スペクトルを調べることにより、素子のスピントルクダイナミクスが分かる。実験の結果、スピン注入磁化反転が可能な素子でも、スペクトル形状の素子間のばらつきが大きく、素子内の磁化の運動がよく制御されていないことが分かった。そこで、素子の形状、積層、大きさ、膜厚などを変化させてよりコヒーレントで再現性のよい磁化の運動を実現することを試みた。その結果、強磁性層を薄くすることと外部磁場などで磁区を制御することが有効であることが分かった。また、交換結合した層におけるスピントランスファーダイナミクスの研究を行った。交換結合磁界は均一性がよいのでよりコヒーレントな運動が期待される。実験の結果、交換結合した層の共鳴を得ることに成功した。また、電流により交換結合した層を磁化反転することにも成功した。しかし、磁化反転は完全ではなく中間状態への遷移が見られた。 ダイオード測定と平行してノイズの測定を行った。その結果、大電流域で低周波のスペクトル強度が増大すことを見出した。このことは、大電流注入において素子内のコヒーレンシーが失われていくことを示している。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Tunneling spectroscopy of magnetic tunnel junctions : Comparison between CoFeB/MgO/CoFeB and CoFeB/Al-O/CoFeB2006
Author(s)
M.Mizuguchi, Y.Hamada, R.Matsumoto, S.Nishioka, H.Maehara, K.Tsunekawa, D.D.Djayaprawira, N.Watanabe, T.Nagahama, A.Fukushima, H.Kubota, S.Yuasa, M.Shiraishi, Y.Suzuki
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Journal Title
JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 99
Pages: 08T309-1_3
Description
「研究成果報告書概要(欧文)」より
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