2006 Fiscal Year Annual Research Report
50テスラ強磁場X線内殻分光による伝導電子-局在電子相関系の研究
Project/Area Number |
17340111
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松田 康弘 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (10292757)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲見 俊哉 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 副主任研究員 (30354989)
大和田 謙二 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (60343935)
|
Keywords | 強磁場 / 放射光X線 / 内殻分光 / メタ磁性 / XMCD |
Research Abstract |
超小型パルスマグネットとSPring-8の放射光X線を組み合わせ、セリウム金属間化合物の磁気円二色性(XMCD)スペクトル、ウラン化合物のX線吸収スペクトル(XAS)、テルビウム化合物の共鳴X線散乱(RXS)の実験を行った。また、価数揺動物質YbInCu_4とEuNi_2(Si_<1-x>Ge_x)_2(x=0.82,0.85)の磁場誘起価数転移における強磁場中での価数状態について解析を進め、論文にまとめた。以下にそれぞれについての具体的な実績を示す。 30テスラ以上の強磁場中でのXMCD測定は世界でもこれまでに例がない。今年度、SPring-8のBL39XUにおいて26テスラで鋭いメタ磁性転移を示すCeRh_2Si_2のCeL_2吸収端でのXMCD測定に初めて成功した。また、同時に、強磁性体CeRu_2Ge_2のXMCDスペクトルも測定し、データの信頼性を確かにした。研究成果はH19年3月に開かれた日本物理学会において発表した。 ウラン化合物の5f電子は、局在-遍歴の中間に位置すると考えられ、興味深い物性を示す。URu_2Si_2は中でも秩序変数が不明の相(HO相)が現れ、磁場により相制御も可能なことから多くの研究例がある。最近、Rhを4%ドープし、HO相を抑制した系U(Ru_<0.96>Rh_<0.04>)_2Si_2で見られる磁場誘起相転移が価数変化を伴うとの報告があり、強磁場X線吸収での直接検証が望まれている。今年度、U(Ru_<0.96>Rh_<0.04>)_2Si_2の強磁場XASの実験をSPring-8のBL22XUで行い、UのL_3吸収端での吸収強度の磁場依存性を40テスラまで測定した。現在、結果について解析中である。 TbB_4は、強磁場磁化過程に多段のメタ磁性転移が現れ、その機構に関心が集まっている。今年度、TbのL_3内殻共鳴遷移を用いた共鳴X線散乱実験をBL22XUで初めて行い、Tbの(100)磁気反射の磁場依存性を測定した。結果は現在解析中であるが、磁化と対応した強度変化が観測されており、磁気構造の決定に有用な情報を含んでいると期待される。
|
Research Products
(5 results)