2005 Fiscal Year Annual Research Report
カルコゲナイドスピネルの圧力誘起絶縁体超伝導体転移機構の解明と新機能創成
Project/Area Number |
17340113
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 孝至 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (00192617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田川 眞行 広島大学, 総合科学部, 教授 (70144889)
小口 多美夫 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (90253054)
伊藤 昌和 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (40294524)
中村 文彦 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (40231477)
石松 直樹 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70343291)
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Keywords | カルコゲナイドスピネル / 圧力誘起絶縁体超伝導体転移 / 新機能創成 / 比熱 / 強磁性 |
Research Abstract |
1.圧力誘起超伝導体絶縁体転移物質CuRh_2S_4の超伝導状態に関する詳細な情報を得るため,比熱及び圧力下における磁化測定を行った。断熱法による比熱の温度依存性から電子比熱係数(γ=22.93 mJ/K^2mol)と超伝導転移における比熱不連続の大きさΔCを精密測定したところ,ΔC/γT_cの値が2.13とBCS理論からの予想値1.43を大きく上回ることが明らかになった。CuRh_2S_4は超伝導体絶縁体転移することから,その起源を探る上で秩序変数の圧力依存性を知る必要がある。そこで,現有のカンタムデザイン社SQUID磁束計で使用出来るピストンシリンダー型圧力印可試料セルを自作し,反磁性の遮蔽体積分率を測定した。その結果,0.8GPaまでの範囲では,遮蔽体積分率は圧力変化に対し一定であることが分かった。さらに,外部磁場中で試料に圧力印可することにより,絶対零度上部臨界磁場H_<c2>(0)を見積もると,圧力印可とともに増大しその変化率は,dH_<c2>(0)/dP=5.51kOe/GPaであることが分かった。 2.カルコゲナイドスピネル化合物における新物性探索の一環として,CuCrZrS_4およびCuCr_2Te_4の磁性及び各種熱力学量の測定を行った。CuCrZrS_4では,比熱の温度依存性に驚くべき異常な振る舞いが現れることが分かった。磁化・磁化率の測定から,本物質は58Kで強磁性へ転移するが,自発磁化は0.27_<μB>/f.u.と小さく,6K以下の温度で磁化が顕著な不可逆性を示すものの6Kから58Kの温度域では弱い不可逆性を示す。緩和法により比熱の温度依存性を測定したところ,実験法の誤差範囲内で強磁性転移温度の周辺に全く比熱の異常が現れないことが分かった。この原因として,次の2つのシナリオを想定して解析を進めている。一つ目は,LaCrSb_3で初めて示唆されているような局在と遍歴スピンの共存及び転移点以上の温度領域における局在スピンの異常なポーラライゼーションによる効果。もう一つは,スピンの逐次グラス凍結である。一方,本研究においてCuCr_2Te_4が326Kにおいて強磁性転移することを見出した。4.2Kから比較的高温の250Kまでの温度域で磁化がプロッホ則T^<3/2>およびT^<5/2>則に従うスピン波励起を観測した。
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Research Products
(6 results)