2005 Fiscal Year Annual Research Report
細菌べん毛フックの自在継ぎ手としての力学原理の解明
Project/Area Number |
17340126
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
吉村 英恭 明治大学, 理工学部, 教授 (70281441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相沢 慎一 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (50222451)
中野 隆 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (00183517)
桃園 聡 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70262300)
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Keywords | 細菌べん毛 / フックフィラメント / 弾性率 / ヤング率 / 蛍光顕微鏡 / 電子顕微鏡 / レーザトラップ |
Research Abstract |
当該研究は細菌べん毛フックフィラメントのユニバーサルジョイントとしての機能を解明するために、その力学定数を測定することを目的としている。今年度当初にたてた5項目の計画については、以下のような結果が得られた。 1,電子顕微鏡での弾性定数の計測 菌体より単離したポリフックフィラメントを急速凍結・凍結乾燥し、そのらせん半径およびピッチ長さを電子顕微鏡写真より計測し、統計処理よりフィラメントの弾性定数の測定を試みた。数百本のフィラメントの統計から、らせん半径は15.7±5.Onm、らせんピッチは95.1±23.4nmという結果が得られた。一方、自然乾燥させたフィラメントは半径17.1±8.5nm、ピッチ123±20nmという結果が得られた。このことから自然乾燥によりフィラメントがつぶされ直径、ピッチが大きくなることがわかった。 2.リコンビナントフック蛋白質の精製とフィラメントの再構成 スーパーポリフック株を用いてフック蛋白質の精製を行った。電気泳動で単一のバンドを得た。タンパク質の量が十分ではないので、フィラメントの再構成は来年度に持ち越す。 3.フック蛋白質の蛍光染色、および抗体作製 Alexa Fluor488を用いて蛍光染色を試みたがフックをうまく染色できなかった。今後溶液条件や色素を変えて引き続き染色を試みる。また抗体については精製フック蛋白質を作っている段階である。 4.倒立型蛍光顕微鏡の整備 蛍光顕微鏡の納入が遅くなったので、べん毛を染色して基本的な性能を確認したにとどまる。レーザトラップによる菌体の捕捉を試みるために、すでにレーザトラップを使用している研究室と検討を行った。 5.らせんピッチや半径の揺らぎから計算によりフックフィラメントの弾性定数を出せるようにする。 1の結果をふまえ、さらにフラジェラフィラメントのらせん半径とピッチを測定し、フラジェラのヤング率として過去の報告より得られた1.0×10^<10>Paと比較することによりフックフィラメントのヤング率として8.45×10^7Paという値を得た。これは予想したより硬い値であるがべん毛が絡まらずにモーターの回転を伝えるには、この方が都合がよいであろうという結論に達した。
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