2006 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴火準備過程におけるマグマの移動現象に関する研究
Project/Area Number |
17340128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 裕一 東京大学, 地震研究所, 助教授 (30220073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 茂 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (90237214)
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Keywords | 火山噴火 / 火山噴火準備過程 / 火山性地震 / 火山性地殻変動 / マグマ蓄積過程 / マグマ移動過程 |
Research Abstract |
本研究の目的は,火山噴火に至るまでのマグマ蓄積などの噴火準備過程を地震及び地殻変動の地球物理観測データに基づき解明することである.この研究の遂行のため,地震及び地殻変動データを同時に解析することにより,これまでになかった視点から現象の把握に努めた. 本年度はこれまでに蓄積された観測データの解析に主力を注いだ.伊豆大島における火山性地殻活動を解析すると共に,1998年以来活動度が低下していた伊豆半島東方沖群発地震が2006年に再度活発化したことから,この群発地震活動についても解析を行い,以下の点を明らかにした. 2002年以降発生した伊豆半島東方沖のマグマ貫入現象を1990年代の現象と比較することによりダイク貫入時にダイク形状(長さと厚さの比)は,マグマの粘性によりダイク先端のマグマが浸入できない領域(tip cavity)の圧力により決まることを,観測データから初めて明らかにした.これは,浮力により移動したマグマの停止時には周辺岩体の見掛けの破壊強度が大きく作用することを示している. 更に,伊豆大島の観測データから以下の新たな知見が得られた.1)GPS観測で見られていた山体膨張は,2004年4月から8月の急激な膨張以外にも,2005年2月から2006年2月にかけての緩やかな膨張もある.2)両者の膨張の空間パターンは類似している.カルデラ内地震活動の震源分布から推定される2枚のダイク貫入でモデルでもほぼ説明できる.3)2006年7月から2007年3月には明確な山体収縮が観測された.この変動の空間パターンは,膨張時のそれと異なり,膨張現象と収縮現象の応力源が単一なモデルでは説明できない. 来年度は上記の現象を詳細に検証し,噴火準備過程の本質であるマグマ蓄積過程と山体の収縮過程の関連を明らかにし,マグマ蓄積現象の解明に努めたい.
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Research Products
(1 results)