2005 Fiscal Year Annual Research Report
南極海インド洋セクターにおける海洋循環と南北熱塩輸送の量的把握
Project/Area Number |
17340138
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
若土 正曉 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60002101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (30185251)
青木 茂 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (80281583)
深町 康 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (20250508)
木村 詞明 北海道大学, 低温科学研究所, 学術研究員 (20374647)
牛尾 収輝 情報・システム研究機構・国立極地研究所, 助手 (50211769)
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Keywords | 海洋循環 / 南極海 / 南北熱塩輸送 / 南極低層水 / 沿岸ポリニア |
Research Abstract |
地球の穏やかな気候は海洋の循環によって維持されている。その海洋循環のエンジン役として重要な役割を果たしているのが、極域海洋、特に深層水の主要な生成域である南極海である。本研究の最大の目的は、世界の海洋データの最も少ない南大洋、特に冬季海氷で広く覆われる南極海における海洋循環の実態把握と南北熱塩輸送の量的把握を行ない、世界の気候システムにおいて極域海洋が果たしている役割を明らかにすることである。 本研究の最重要課題は、南極底層水の南北輸送量を直接評価することである。我々は、ウエッデル海やロス海とともに南極底層水生成域の一つであり、これまで全く実測データの無いアデリーランド沖をターゲットとして、ここで生成する南極底層水が西岸境界流としてインド洋セクターを北上する流れの季節変動を捉えるための観測を実施した。豪州CSIROの協力を得て、2003年2月から2005年1月までの2年間にわたって、西岸境界流の流路上(ケルゲレン海台東岸沖)の水深2252mの斜面域から水深4729mの深海域にかけて8測点での係留系を設置して、1000m以深の流向・流速、水温、塩分の連続観測を実施した。係留系の設置及び回収作業は、豪州南極観測隊の砕氷観測船オーロラ号によって行った。設置された測器は流速計31台、ADCP2台、水温・塩分計33台、水温計2台で、流速計1台を除いて、良好なデータを取得することに成功した。 これまでに行った流速データの解析では、全ての係留観測点において、流向が鉛直的に同じであることが確かめられ、ケルゲレン海台から離れた深海域では南東流が、斜面域では北西流が卓越していた。但し、深海域においては、斜面上に較べて流向・流速ともに時間変動が極めて大きいという特徴が見られた。外部斜面域においては、海底に向かっての流速強化が見られ、秋から冬にかけては、海底直上で、年平均でも0.2m/sを超えるような強い北西流が観測された。また、この外部斜面域では、20日程度の周期をもつ流速変動が卓越していた解析は始めたばかりであり、今後得られた膨大なデータ解析を実施していく予定である。
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Research Products
(8 results)