2005 Fiscal Year Annual Research Report
2003年北海道日高洪水堆積物の海域での堆積過程と海底環境への影響の解明
Project/Area Number |
17340151
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
池原 研 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究グループ長 (40356423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 肇 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (90356775)
野田 篤 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (50357745)
辻野 匠 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (80357516)
入野 智久 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (70332476)
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Keywords | 洪水 / 海底堆積物 / 海底環境 / 台風 / 北海道日高地方 |
Research Abstract |
2003年北海道日高地方で台風10号に伴って発生した洪水により河川から海域に供給された土砂の海域での堆積過程と海底環境への影響を解明するため,洪水の発生した沙流川と厚別川並びに隣接する新冠川の河口沖合域の調査を実施した.また,これらの河川並びに静内川の平常時に輸送される粒子を把握するため,これらの河川において採水と懸濁物採取を行った.海域での調査結果によれば,沙流川と厚別川の沖合には氷期の低海水準期に形成された谷地形が認められ,現在の海底地形でも浅い凹地として認定される.今回の洪水で供給された陸源堆積物はこれらの谷の中にのみ認められ,内側陸棚の谷の外側で洪水直後に数十cmの厚さで報告された泥は見いだせない.このことは泥の多くが再移動していることを示唆する.一方で谷の中では,洪水2年後の現在においても10cm程度の泥とそれに連続する砂が認められる.この砂には緩くうねった葉理構造が認められ,密度流としてもたらされた可能性が高い.すなわち,河川前面に旧河谷の凹地がある場合には,河川から排出された堆積物を含んだ水は密度流として凹地に沿って沖合に輸送された可能性が示唆される.一方で,河口前面に明瞭な凹地の存在しない新冠川沖合では,洪水前に比べて明瞭な泥分の増加が認められるものの,河川起源の泥の影響域は河口近傍に限られる.河口前面に凹地がない場合には河川から排出された泥水は河口前面で広がって流速を減じ,河口近傍に堆積することが推定される.すなわち,内側陸棚の海底地形が河川から排出された泥水の輸送・拡散に影響していると推定され,海底環境への影響はこれらのタイプ毎に考えねばならないことが判明した.これらの結果については,2006年3月に開催された日本堆積学会と目本海洋学会で発表した.
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