2005 Fiscal Year Annual Research Report
付加体シュードタキライトの解析と高速せん断実験に基づく海溝型地震発生機構の解明
Project/Area Number |
17340152
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
氏家 恒太郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (40359188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 昭人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90324607)
坂口 有人 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (80304666)
山口 はるか 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究推進スタッフ (80359207)
平野 伸夫 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助手 (80344688)
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Keywords | シュードタキライト / 摩擦熔融 / レオロジー / 高速せん断摩擦 / 沈み込み帯 / 付加体 / 海溝型地震 / 地震発生帯 |
Research Abstract |
付加体シュードタキライトの解析 四国東部牟岐地域と四国西部興津地域の四万十付加体で発見したシュードタキライト(Pt)を対象に、微細構造解析、化学組成定量、冷却速度・粘性率・せん断抵抗の算出を行い、以下の成果を得た。(1)摩擦熔融・急冷に特有の微細構造を付加体Ptで初めて明確に見出した。(2)付加体Ptはイライトに富むすべり面が摩擦熔融して形成された。(3)付加体Pt形成時の到達温度は最低でも1100℃であると考えられる。(4)付加体Ptは厚さが薄い(1mm)ため、熱伝導による急冷が顕著で、10秒以内で熔融状態(1100℃)から周囲との温度差が100℃未満に達する。(5)付加体Pt形成時の粘性率は10-10^2Pasのオーダーで非常に低く、これは、高熔融温度(【greater than or equal】1100℃)、イライト結晶水からの脱水、固体粒子の体積分率が小さいことを反映している。(6)付加体Pt形成時のせん断抵抗は、ニュートン流体を仮定して粘性率とせん断歪み速度から見積もると0.1-0.3MPa、地震時のエネルギーがすべて熱に転換されたと仮定して見積もると0.7-30.3MPaである。このことは、海溝型地震時に摩擦熔融によってシュードタキライトが形成されると、断層は動的弱化を引き起こして地震性すべりを加速させ、破壊域を拡大させ地震のマグニュードを増加させると考えられる。 高速せん断実験 四万十付加体のシュードタキライト産出断層近傍から採取した頁岩試料の高速せん断実験を行い、以下の成果を得た。(1)堆積岩を世界ではじめて摩擦熔融させることに成功した。(2)四万十付加体のシュードタキライトの微細構造を実験で再現させることに成功した。 今年度得られた付加体シュードタキライトの解析成果に関しては、海外・国内の学会で発表し、国際誌へ論文を投稿した。高速せん断実験に関しては、高速せん断時の試料流失を防ぐための試験機の改良、放射温度計のキャリブレーション、試料整形を行っているところである。
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