2005 Fiscal Year Annual Research Report
水銀汚染指標としての底生有孔虫群集変化に関する研究
Project/Area Number |
17340155
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大木 公彦 鹿児島大学, 総合研究博物館, 教授 (90041235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨安 卓滋 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (60217552)
日高 正康 鹿児島大学, 水産学部, 講師 (20208771)
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Keywords | 底生有孔虫 / 水銀汚染 / 海底堆積物 / 水俣湾 / 南部八代海 / 底層水 / 粒度組成 / ベントス |
Research Abstract |
初年度である平成17年度は、4月20日に水俣湾において、25''間隔のグリッドを設定し、12点の柱状試料(コア)を採取した。なお、この採泥調査は年度初めであったため、通常経費を使用した。また、この調査で礫が分布する海底に柱状採泥器を落としたために採泥器のパイプが曲がり、その後の採泥調査の中止を余儀なくされたが、今回、柱状採泥器を新たに購入した。 本年度は12点のコアの処理、粒度組成の分析、底生有孔虫殻の拾い出し、水銀含有量の測定を進めた。底生有孔虫のシャープな画像を得るために、すべてにピントのあうマイクロスコープを購入し、底生有孔虫殻の観察および撮影を行った。底生有孔虫の処理はすべて終わっていないが、予察的に表層堆積物中の底生有孔虫群集組成を調べた結果、水俣湾の5地点ではガラス質殻有孔虫が大半を占め、還元的な環境悪化は認められなかった。とくに水俣湾の北部の1地点では貝形虫が多く、環境の悪化は認められない。ただ、水銀汚染後の海底表層堆積物の浚渫が行われていない南の袋湾では、水俣湾の地点に比べて膠着質殻有孔虫の割合が高く、やや還元的な環境にある可能性が高い。水銀との関係は、コアにおける水銀含有量と底生有孔虫群集の垂直変化を調べる必要がある。その結果は、漸次、公表する予定である。また、海底表層堆積物と海底直上水中の水銀の測定結果から、メチル水銀が海底表層堆積物から海水中へ放出されていることが今回明らかになった。この研究結果は化学学会で発表し、国際学会誌に投稿した。一方で、これまで行ってきた、南部八代海の水銀汚染と海底表層堆積物の動き、底生有孔虫群集の関係については日本地質学会西日本支部例会(2月)、底生有孔虫研究集会(3月)で発表し、共立出版の「日本の地質 増補版」に概要を載せ、月刊海洋に投稿した。なお、南部八代海の研究結果は、イギリスから出版された「The Evolution of Clastic Sedimentology」に紹介された。
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Research Products
(2 results)